アトピーのほてりと乾燥が同居する朝の重だるさをほどく考え方

この記事のあらすじ

クリーム色の背景の四隅に水彩画の植物。中央下部に色分けされた3つのテキストボックスが並び、それぞれスキンケア、乾燥のサイン、循環の停滞に関する比較説明が記載されている。

【3行結論】

・スキンケアは「何を塗るか」より「肌を本来の状態に戻す」ことが軸になります。

・湿気の多い時期に乾燥のサインが出るときは、内側のほてりを見ていきます。

・朝起きた時の重だるさは、熱ではなく循環のサインのことがあります。

 

今回は、湿気の多い時期に出てきた肌のほてりと乾燥、そして朝の重だるさをめぐるお話です。スキンケアの選び方から始まり、アイス枕の手応え、ふくらはぎや鎖骨周りまで、体全体のつながりとして整理してみました。

 

患者さんの「朝起きた時に体がすごく重い」というひと言から、ほてりだけではない別のサインが見えてきました。一見、別々の話に見えるテーマが、ひとつの体の中でつながっていく感覚を、是非とも感じていただければと思います。

 

【読み終わるころに分かること】

・スキンケアを「物」ではなく「状態」で選ぶとはどういうことか

・湿気が多いのに乾燥するという矛盾の正体

・朝起きた時の重だるさをどこから読み解くのか

・自分の体の指標(ふくらはぎ・鎖骨・呼吸)をどう持つか

【こんな方に向けて書いています】

ご自身のアトピーや肌の状態を、塗るものだけでなく体全体の流れから整えていきたいと感じている方に向けてお話しします。

現在の状態 湿気の多い時期に、肌のほてりと乾燥が同じタイミングで出てきている状態のお話を伺いました。表面の症状の奥に、もうひとつ別の流れがあるんじゃないかな、と感じています。

柔らかな水彩風のしずくが舞う背景。左右に配置された2つの大きなテキストボックスで、外的な湿度に関わらず肌が乾燥する理由と、朝の重だるさが循環の停滞であることの解説。

湿気のある時期に乾燥が出るという矛盾

患者さんの肌は、湿気が多いはずの時期に乾燥のサインが出ていました。雨の日でも、ほてりと乾燥が一緒に来ているという状態です。本来、湿気のある環境では、外から保湿そのものを足す必要は少なくて済むはずなんです。それでも乾燥するということは、外側の湿度ではなく、内側の熱が関係していると感じています(1)。

こうした皮膚のサインと並んで、もうひとつ気になる感覚をお話しいただきました。

朝の重だるさという別のサイン

アイス枕を取り入れて寝つきは良くなったというお話を伺ったのですが、起きた瞬間に体がすごく重い、という感覚が残っていました。これは冷ますこと自体が悪かったわけではなく、ほてりが取れたことで、それまで隠れていた別の感覚が見えやすくなった状態なんじゃないかな、と感じています。重だるさが新しく出てきたのではなく、最初から両方あった可能性が高いと考えています。

このサインをどこから読み解いていったのか、次に私の見立てをお話しします。

施術者の見立て スキンケアと朝のだるさは、別々の話に見えて、体の中ではつながっていると感じています。ここでは私が考える流れを整理してお伝えします。

ピンクと黄色の抽象的な背景。中央に重なり合う3色の台形の図解があり、それぞれに「塗ることより熱を抜く」「心肺機能への負担」「炎症ではなく血流のサイン」という見出しと詳細テキスト。

スキンケアは「物」ではなく「状態」を整える

スキンケアという言葉を、多くの方は「何を塗るか」と捉えていらっしゃいます。ただ、私はスキンケアの本来の意味は、肌を本来の状態に戻すことだと考えています。乾燥した肌に潤いを与えること自体は必要なのですが、内側がほてったままだと、塗ったものはすぐに蒸発していきます。ですので、塗ることよりも、まず熱を抜く方が優先順位が高いと感じています(2)。

熱を抜く方向で見ていくと、もうひとつ別のレイヤーが見えてきました。

朝の重だるさは心肺機能のサイン

朝起きた時の重だるさは、熱がこもっているのではなく、循環の問題から来ていると見ています。梅雨の時期は空気が重くなり、心臓と肺に負担がかかります。ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれていますが、私はそこを循環の反応点としても見ています(3)。寝ている間は心臓と肺だけで循環を回すため、心肺機能が疲れていると、寝ているだけでだるさが残ってしまうんです。

肌の側にも、同じ流れから読めるサインがありました。

顔の赤みが時間帯で変わる意味

朝は引いていて、昼から夜にかけて出てくるという赤みのお話を伺いました。これは炎症だけが原因の赤みではないと感じています。炎症であればずっと赤いままなんです。時間帯で変わるということは、頭や目、耳の使いすぎ、あるいは血流の問題が関わっていると考えられます(4)。慢性化していくと、最終的には炎症に転じることもあるので、その前段階のほてりを抜いていくことが優秀ですね、と感じる対処になります。

こうした見立てを踏まえて、実際にどんな施術と提案をしたかをお話しします。

施術内容と経過 スキンケアの考え方、アイス枕の活用、着圧ソックスの提案、鍼と電気施術。複数の入り口から、循環とほてりを同時に整えていきました。

植物とエネルギーの波のような水彩イラスト。中央に「熱を逃がす」「動きを引き出す」「心臓を補助する」という3つの見出しに基づいた、具体的なケア方法と注意点の解説テキスト。

アイス枕の手応えと着圧ソックスの新しい一手

前回からの宿題だったアイス枕は、寝つきと寝心地が良くなったというお話で、冷ますこと自体は方向として悪くないと感じました。ただ、朝の重だるさが残ったので、次は循環の方向にアプローチを足していきます。寝る前にふくらはぎや鎖骨周りをほぐすこと、そして着圧ソックスを履いて寝ることをご提案しました。着圧ソックスは、圧迫することで心臓の助けになるアイテムで、入院中に履く血栓予防のソックスと同じ仕組みです。心肺機能が疲れている時の補助になると感じています(5)。3000円前後で買えるもので構いません。

お風呂の入り方も、ほてりを残さない方向で整理しました。

お風呂の出方で熱を残さない

お風呂上がりのほてりを残さないために、出る前に頭周りを冷ますことをお伝えしました。窓を少し開けて湯気をこもらせない、足湯にして血を下に引っ張る、冷たいタオルで頭を拭くという方法です。ここでひとつ落とし穴があって、中まで冷め切らない状態で冷たいシャワーをサッと浴びると、体は反発して血流が一気に上がってしまうんです(6)。冷ますなら、ある程度の時間をかけて冷まし切ることが大切だと感じています。

そして当日の施術では、体の内側の動きそのものを変えていきました。

鍼と電気で動きを引き出す

施術では鍼に電気を流す形で、力が入りすぎて動きが鈍くなっている場所を動かしていきました。普段から力が入り続けている方は、最初は同じ刺激でも動きが悪いのですが、力の抜き方がわかってくると、だんだん動き出していくんです。動くということは、中の血流が良くなり、いらないゴミが流れていくことだと感じています(7)。終わった後の感覚は、呼吸と循環が楽になることで、ご本人にもわかりやすい変化として出てくると感じています。

これらの施術と提案を通じて、私が今回の症例から考えたことをお話しします。

施術を通じての考察 今回の症例で見えてきたのは、「物」ではなく「状態」で体を見るという視点と、自分の指標を持つことの大切さでした。

右側に輝く卵型の抽象的な水彩画。左上には慢性的な不調から抜け出すための考え方、左下にはふくらはぎの柔らかさ、鎖骨の力み、呼吸の深さを確認するための3本のリスト。

自分の指標を持つということ

スキンケアでも体のケアでも、「何をやればいいですか」という問いが先に来てしまいがちです。ただ、本当に大事なのは、ふくらはぎが柔らかいか、鎖骨周りが楽か、鼻呼吸がしやすいか、という指標を自分で持つことだと感じています。指標があれば、やり方は何でも構わないんです。指標が良くなる方向に動けばいい、ということになります。

指標を持つことと並んで、もうひとつ私が大切にしている考え方があります。

本来の楽な状態を思い出す

慢性化している方は、悪い状態がデフォルトになってしまっていることが多いんです。ですので、施術後に「本来の自分はこんなに呼吸がしやすかったんだ」と思い出していただくことを大切にしています。体は良い状態を思い出すと、そちらに戻ろうとする働きが出てくると感じています(8)。これは慢性のお悩みを扱う上で、一番大きいポイントなんじゃないかな、と感じています。

思い出すためにも、自分の中に比べる物差しが必要になってきます。

比較対象を持って体を読む

頭の輪郭や脈のスピード、ふくらはぎの硬さ。良い状態がわからないと、悪い状態もわかりません。卵のような球体の頭が、角張ってきたりきのこ状になってきたら、何かが起こっているサインです。脈が速くなって顔が赤い時は、頭を使いすぎているのかもしれません。こうやって裏を取りながら、現状を把握していくことがロジカルな体の読み方だと感じています。

まとめ スキンケアもアトピーも、塗るものを変えるだけでは届かない領域があります。体全体の流れと、自分の指標を持つことから、整え方が見えてきます。

穏やかな雲のような水彩背景の中央に羽。上部に3つのまとめボックスがあり、最下部には「肌の上に出ているサインを表面だけで追わない」という大きな結論メッセージ。

肌の上に出てきているサインを、皮膚の表面だけで追わない。湿気の多い時期に乾燥が出るときは、内側の熱を冷ますことを軸にする。朝の重だるさが残るときは、ほてりではなく循環のサインとして読む。こうした体の読み方が、症状とのつき合い方を変えていくと感じています。

スキンケアは「物を使うこと」ではなく、「肌を本来の状態に戻すこと」です。体のケアも同じで、「何をやるか」より「どの指標が良くなるか」を見ていくと、自由度が一気に上がります。本来の自分の楽な感覚を思い出していく場として、ご自身の体のサインに耳を傾けていただければと感じています。

ページ監修者:阿部英雄

執筆者阿部英雄の画像

英気治療院代表

【保有資格】
・鍼灸あん摩マッサージ指圧師
・はり師、きゅう師
・アスレチックトレーナー
・電磁波測定士1級
・サプリメントアドバイザー
・スキンケアアドバイザー、カウンセラー
統合医療認定師

【学会発表・研究会発表】
テーピングと温熱療法を用いた足部へのバランス改善による下肢掻痒感へのアプローチ
手技療法による内臓調節と姿勢調節を目的と頸部と上肢のアトピー性皮膚炎1症例について
鍼灸パルスと手技療法による筋緊張緩和によって背部掻痒感が緩和した1例。
アトピー性皮膚炎の多元的アプローチによる1症例

【書籍】
・女性自身 湯たんぽケア
・Tehamo フォーカルジストニアについての考察

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