「痒くて眠れない夜、薬も効かなくなってきた…」そんな方へ
夜中に気づいたら掻いている。血が出るまで掻いてしまう。市販薬を使っても、以前ほど効かなくなってきた——。
そんな経験をされている方は、決して珍しくありません。英気治療院には、幼い頃からアトピーと向き合ってきた20代の方も多くご来院されます。
今回は、20代・男性・座り仕事が多い職場環境でお勤めの方の変化をご紹介します。
なぜ夜間に痒みが強まるのか?医学的な背景を知っておこう
アトピーの痒みが夜に強まることは、医学的に広く確認されています。研究では、痒みのピークは20時〜0時に集中しているとされており、その背景には以下のメカニズムが関わっています。
① コルチゾールの夜間低下
夜間は、抗炎症作用を持つホルモン「コルチゾール」の分泌が最低値になります。そのため、炎症が抑制されにくい状態になります。
② 皮膚バリアの低下(TEWL増加・体温上昇)
夜間は体温が上がり、皮膚から水分が蒸散しやすくなります(経皮水分散失=TEWL)。皮膚バリアが低下し、外からの刺激が侵入しやすい状態です。
③ 注意散漫の減少
日中は仕事や外部の刺激に意識が向いているため、痒みを感じにくい状態です。静かな就寝時には、その感覚が前面に出やすくなります。
こうした仕組みを知ることで、「夜だけ痒いのは気のせい」ではなく、体の概日リズムとして起きていることが理解できます。
英気治療院でのアプローチ
今回の方は、初回の確認で以下のような状態が見られました。
- 腕・胸・背中・お尻・ふくらはぎ全体に強い筋緊張
- グーパー運動がスムーズにいかず、感覚が鈍い部分がある
- 反り腰の姿勢と、呼吸器系の弱さ
施術では、胸部(大胸筋)・背中・肋骨周辺・座骨周辺へのアプローチを行い、体の緊張を緩めながら変化を確認しました。「施術のたびに腕の柔らかさを確認する」というのが英気治療院のスタイルで、「触ってみると変わってますね」と驚かれることも多いです。
医療との並走について 英気治療院では、皮膚科での診察や薬物療法と並走する形でのサポートを行っています。薬の効果が感じにくくなってきた場合は、まず皮膚科専門医にご相談いただき、現在の医療が提供する選択肢(生物学的製剤やJAK阻害剤など)も含めて検討されることをおすすめします。
ご自宅でできるセルフケアのヒント
英気治療院では、施術後のセルフケアも重要と考えています。今回ご提案したのは以下の方法です。
プールスティックを使った背中緩め(就寝前2〜3分)
用意するもの: 100円ショップのプールスティック(バスタオルを丸めても代用可)
やり方:
- 床にプールスティックを置く
- 背骨の下に当たるように仰向けに寝る
- そのまま2〜3分キープ
背中の緊張を日常的に緩める習慣として、取り入れやすい方法です。研究では、筋弛緩を意識した取り組みがアトピー性皮膚炎の痒みや睡眠の改善に一定の変化をもたらす可能性が報告されています。
その他のセルフケア
- ラジオ体操:体を柔らかく保つための動きを日課に
- 肋骨のセルフマッサージ:胸まわりの緊張をほぐす
- セルフチェック:「腕の硬さをほっぺの柔らかさと比べてみる」感覚を身につける
「硬くなってきたな」と感じたら、早めにケアに戻る。この感覚を掴んでいただくことが、日々の状態を安定させるひとつのヒントになるかもしれません。
まとめ
夜間に痒みが強まる仕組みは、コルチゾールの低下・皮膚バリアの低下・注意散漫の減少など、体の概日リズムと深く関わっています。
薬の効き目が感じにくくなったときは、まず皮膚科専門医への相談が最初のステップです。その上で、体全体の状態を整えるセルフケアや施術を取り入れることで、日々の変化に気づきやすくなるかもしれません。
英気治療院では、医療と並走しながら体全体の状態を整えるお手伝いをしています。まずはお気軽にご相談ください。
参考文献・出典
[1] Patel T, et al. “Nocturnal pruritus: the battle for a peaceful night’s sleep.” Acta Dermato-Venereologica, 2007. (夜間の痒み:安眠を妨げるものとの戦い/皮膚科学専門誌) https://medicaljournalssweden.se/actadv/article/download/8416/11892
[2] Fishbein AB, et al. “Nocturnal itch: why do we itch at night?” Journal of Allergy and Clinical Immunology, 2015. (夜間の痒み:なぜ夜に痒くなるのか/アレルギー・免疫学専門誌) https://www.jacionline.org/article/S0091-6749(15)01252-X/fulltext
[3] Xiaoxue et al. “Circadian rhythms and atopic dermatitis pruritus.” Acta Dermato-Venereologica, 2024. (概日リズムとアトピー性皮膚炎の痒み/皮膚科学専門誌) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11318504/
[4] American Academy of Pediatrics. “Alternative Treatments for Atopic Dermatitis.” (米国小児科学会:アトピー性皮膚炎の代替療法) https://www.aap.org/en/patient-care/atopic-dermatitis/treatment-of-atopic-dermatitis/alternative-treatments/
[5] 日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/allergolint/74/2/74_210/_article/-char/ja/
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