この記事のあらすじ
【3行結論】
・9ヶ月順調だった湿疹がぶり返した本当の要因は、食事ではなく疲労の蓄積でした
・体内に老廃物がたまり炎症が繰り返されることで、皮膚にサインが出ています
・休む時間を意識的に確保することが、皮膚を整えていく最短の道だと感じています
長年湿疹と付き合っている男性会社員の症例です。9ヶ月ぶりに来院され、いつもの背中・腰・脇腹に加えて、両腕にも一気に広がった状態でした。ご本人は仕事が忙しく、コンビニ弁当や揚げ物が続いた食事を気にされていました。けれど私の見立ては、食事ではありませんでした。
【読み終わるころに分かること】
・なぜ忙しい時期に皮膚の症状が悪化するのか
・食事ではなく疲労が湿疹に直結する仕組みとは
・睡眠時間を削っているときに体の中で何が起きているのか
・足し算ではなく引き算のセルフケアという考え方
【こんな方に向けて書いています】
長年付き合っている湿疹がふと悪化したときに、食事や生活習慣を見直しても改善が追いつかず、何が本丸なのか分からなくなっている方に向けて書いています。
現在の状態 9ヶ月ぶりの来院で、全身に湿疹が出ている状態でした。順調に過ごせていた期間のあと、何が変わったのか。ご本人の自覚を伺うところから始まりました。
9ヶ月ぶりの来院と両腕に広がる湿疹
今回は9ヶ月ぶりの来院です。いつも出やすい場所である背中・腰・脇腹に湿疹が出ていて、それに加えて両腕も一気にひどくなったとのこと。9ヶ月という長い期間、割合順調にお過ごしだったので、私としても少し驚きました。それだけご自身の体と向き合ってこられたと感じています。
ご本人としては、5月くらいから両腕の状態が一気に変わったという自覚がありました。それまで出ていなかった場所にも症状が広がっていて、ご自身でも「これはおかしい」と感じていらっしゃいました。
両腕に広がるまでに何があったのか、お話を伺っていきました。
忙しい3〜4ヶ月とコンビニ弁当の生活
5月の悪化に至るまで、3〜4ヶ月ほど仕事が非常に忙しかったとのことでした。帰りが遅く、自炊する時間が取れない。結果として、コンビニ弁当や揚げ物といった出来合いの食事が続いていたそうです。
ご本人としては、この食事の変化が皮膚の悪化につながったのではないかとお考えでした。確かに食事の質が変わったことは事実です。ただ、私から見ると、もっと根本的な要因が別にありました。
そこで、食事と並行して何が起きていたのかを一緒に整理することにしました。
施術者の見立て ご本人が「食事」と考えていた原因について、私の見立てをお伝えしました。食事ではなく、疲労こそが本丸であるという話です。
両腕に出た本当の理由は疲労だった
両腕の悪化に最も影響しているのは何だと思いますか、と伺うと、ご本人は「食事」と答えられました。けれど、私の見立てはちがいます。一番の影響は疲労です(1)。
湿疹は、免疫細胞が体積・蓄積したものでできています。その手前で起きているのが、繰り返される炎症です。なぜ炎症が起きるかというと、体の中に老廃物がたまっているからなんです(2)。忙しくて疲れているとき、デスク周りや身の回りの整理整頓が後回しになる感覚があるじゃないですか。あれが体の中でも起きていて、ゴミが溜まる、その場所でちょいちょい炎症が起きて、湿疹になっていく、というイメージです。
ですので、3〜4ヶ月忙しかったことそのものが問題なのであって、コンビニ食云々はそれほど大きな要素ではないと感じています。
もし無理に自炊していたら、もっとひどかった
ご本人にもお伝えしましたが、もし「忙しい中でも頑張って自炊する」を選んでいたら、もっとひどい状態になっていた可能性が高いです。シャワーだけで済ませる、朝はだるいけれど無理に動く。そういった疲れの積み重ねこそが、湿疹の引き金になるからです(3)。
食事の選択は間違っていません。むしろ、限られた体力の中で「食べる」ことを成立させていたのは、ある意味で正しい判断だったとも言えます。
ただ、そこで休息までセットになっていれば、結果は違っていたかもしれません。
春先からの無理が5月に出た
5月に無理をしたわけではなく、その前の3〜4ヶ月、つまり春先から少しずつ無理を重ねていた、というのが正確なところです(4)。みなさんそうなりやすいのですが、年度末や新年度の節目で緊張が抜けて、暖かくなって動きすぎてしまう。そこで一度休息を取ればよいのに、忙しさで休めない。これが5月の皮膚に出てきます。
その流れを踏まえて、施術と並行してどのような考え方で体を整えていくかをお話ししていきました。
施術内容と経過 施術は、体の中をお掃除するイメージから始めます。表面の症状を追いかけるのではなく、体の構造的なところから整えていきました。
鎖骨と腰のこわばりに触れて分かったこと
実際に体を触らせていただくと、鎖骨の周りが固く、呼吸時に腰が動きにくくなっていました。前回もお伝えしましたが、「腹潰し」と呼んでいる、座り方によって腹部が圧迫されている状態です。鎖骨の硬さが続くと、呼吸が浅くなり、体内のめぐりも滞りやすくなります(5)。
体重が少し落ちていたこともあり、顔周りもすっきりされていました。これは食事を意識されたぶんもあるかもしれませんが、見立てとしては「体力が落ちている」サインでもあると感じています。
ここから、体を整える施術に入っていきます。
超音波で固まりをほどき、巡りの土台をつくる
最初に行ったのは超音波の施術です。これは、メガネの超音波洗浄機をイメージしてもらうと近いです。体の中のいらない汚れを浮き上がらせて、隙間を作り、流れやすくする働きが期待できます(6)。そのあとに次の施術を入れると、老廃物が外に出やすくなる感覚があります。
加えて、全身の血流を促す機器も使っていきました(7)。体の中に空間が生まれてくる感じがあり、ご本人も呼吸が楽になったとのことでした。
ゴミがたまっているところほど抵抗感がある
うつ伏せでの施術中、特に両腕の周りや背中をほどいていくと、明確に「抵抗感」のある場所がありました。湿疹が出ている場所と、ゴミがたまっている場所は重なっています(8)。触れたときに体が反応する場所こそが、ふだんから疲れを蓄積してしまっているポイントなんです。
施術後はずいぶん体が軽くなった様子で、ご本人も「楽になった」と話されていました。ここからは、その状態をどう保っていくかという話に移ります。
施術を通じての考察 施術自体で楽になった体を、どう日常で守っていくか。ここからが本題だと感じています。皮膚の症状で悩んでいらっしゃる方に、ぜひ参考にしていただきたい考え方をお話しします。
患者さんによくお伝えしているのは、症状を「その日の出来事」だけで判断しないということです。たとえば、朝は痒くなくても夜に痒くなるのか。仕事のある日は痒くないのか。週始めと週終わりで違うのか。こうした視点で1週間単位で観察すると、症状の波が見えてきます(9)。
蓄積で出るタイプの湿疹は、週終わりに強くなる傾向があります。逆に、朝起きた瞬間から痒い場合は、夜の間に体が回復しきれていないサインです。1日単位だけでなく週単位で見ることで、自分の体の癖が見えてきます。
そして、そこから次の打ち手が見えてきます。
「何を食べればいいですか」「何を取り入れればいいですか」と聞かれることが多いです。けれど、私がお伝えしたいのはむしろ逆で、すでにやりすぎているので、何かをやめてください、ということなんです。
胃を休めるために食事の時間を分ける、夜は軽くする、夕方早めに食べてしまう。寝る前の負担を減らす工夫がいくつもあります。1日10〜15分の仮眠でもよくて、それで急回復することもあります。体力の回復は、残った分だけしか戻ってこないんです(10)。スマホのように100%まで充電できるわけではない、というのが体の特性です。
ですので、自分にとって負担になっているものを「やめる」「減らす」方向で組み立ててみてください。
睡眠は最後の砦
特にお伝えしたいのは睡眠です。日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、世界最低水準だと言われています(11)。7時間以下の睡眠が続くと認知機能のリスクが上がるという報告もあって(12)、寝ている間に脳のゴミ処理が行われているという考え方も知られています(13)。
睡眠不足は「睡眠負債」とも呼ばれていて、3ヶ月続くと相当きついです。慣れてしまうとご本人も気づかない、というのが厄介なところです。最低でも7時間、休める日は9時間ぐらいを目標にしてあげてください。
まとめ
今回の症例から見えてきたのは、皮膚の症状の背景には、ほぼ間違いなく体力と疲労のバランスがあるということでした。
皮膚に出ているサインを、皮膚だけで追わない。体の中で老廃物がどう動いているか、どこに溜まっているかを丁寧に見ていくと、表面の症状と全身の疲労がきれいにつながってきます。
忙しい時期に皮膚が悪化するのは、決して気のせいではなく、体力が落ちて免疫が一番最初にダメージを受けているサインです。そして、その免疫がダメージを受けるかどうかを左右しているのが、結局のところ睡眠と休息の時間なのだと感じています。
足し算で何かを取り入れる前に、引き算でやめられるものはないか。1週間の中で、自分のために使える時間がどれくらいあるか。同じように湿疹で悩んでいらっしゃる方は、まずそこを見直していくと、皮膚は自然と落ち着いていく場所を見つけてくれる、と感じています。
ページ監修者:阿部英雄
英気治療院代表
【保有資格】
・鍼灸あん摩マッサージ指圧師
・はり師、きゅう師
・アスレチックトレーナー
・電磁波測定士1級
・サプリメントアドバイザー
・スキンケアアドバイザー、カウンセラー
・統合医療認定師
【学会発表・研究会発表】
テーピングと温熱療法を用いた足部へのバランス改善による下肢掻痒感へのアプローチ
手技療法による内臓調節と姿勢調節を目的と頸部と上肢のアトピー性皮膚炎1症例について
鍼灸パルスと手技療法による筋緊張緩和によって背部掻痒感が緩和した1例。
アトピー性皮膚炎の多元的アプローチによる1症例
【書籍】
・女性自身 湯たんぽケア
・Tehamo フォーカルジストニアについての考察
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