かゆみの奥にある呼吸の浅さと胸の硬さに向き合う

この記事のあらすじ

重なり合う3つの円のイラストと「皮膚」「熱」「呼吸」に関する説明文が記載されたあらすじスライド。

【3行結論】
・皮膚のかゆみは、皮膚の上だけを見ていると出口が見えなくなることがある
・お風呂上がりの赤みやのぼせは、体の中の熱の抜け方と関係している可能性がある
・呼吸と胸まわりの状態を整えることが、皮膚のサインに向き合うひとつの糸口になり得る

夜になるとかゆみが強くなり、思わず掻きむしってしまう。お風呂上がりには顔が赤くのぼせて、体の中の熱がどこに抜けたらいいのか、行き場を失っているように感じられる。皮膚科で処方された塗り薬を続け、保湿も欠かさず行っているのに、なぜかゆみは繰り返してくるのだろう。そんな戸惑いを長く抱えていらっしゃる方は、決して少なくないと感じています。

今回の症例で伺った方も、まさにそうしたお悩みを持っておられました。デコルテのかゆみ、風呂上がりの赤み、そしてのぼせと、いくつものサインが重なっていました。ですが、体を丁寧に見ていくと、皮膚のかゆみとは一見無関係に見える「胸まわりの硬さ」や「呼吸の浅さ」が、深く関わっていることが見えてきました。

この記事では、皮膚のかゆみを「皮膚だけの症状」として捉えず、呼吸の浅さ・胸の硬さ・熱のこもり方といった、体全体のめぐりの中で見ていく私の視点をお話ししていきます。

【読み終わるころに分かること】

・お風呂上がりの赤みやのぼせが、なぜ皮膚のかゆみとつながっていくのか
・大胸筋の硬さが呼吸をどう変え、皮膚にどう影響してくるのか
・ホットパックと超音波を組み合わせた施術が、鎖骨まわりで何をしているのか
・痛みを伴うゴリゴリと、そうでないゴリゴリの違いを、どう見分けるか
・呼吸を3Dで整えるとはどういうことか、体の使い方のヒント

【こんな方に向けて書いています】

長年皮膚のかゆみに悩まされてきて、保湿や塗り薬だけでは追いつかないと感じている方。呼吸の浅さやのぼせやすさを、皮膚の症状と結びつけて考えたことがなかった方に向けて、書いています。

現在の状態 初めて拝見したときの印象と、ご本人が困っておられた症状を、まず整理してお話しします。

人体のイメージイラストとともに、上半身と下半身に現れる症状のサイン(デコルテのかゆみや大胸筋の硬さなど)をまとめたスライド。

掻きむしってしまう夜と風呂上がりの赤み

デコルテのあたりに、掻きむしってしまった跡が残っていました。ご本人にお話を伺うと、「普通にかゆい」ということで、我慢しきれずに掻いてしまう、とのことでした。お風呂上がりには特に赤みが強く出て、顔まで少しのぼせてきている状態でした。夜のかゆみと風呂上がりののぼせが同居している時期は、体の中に熱がこもりやすくなっていると感じています。皮膚に出ているサインだけを見ていては、この熱の起点にはたどり着けないのではないか、と思いながらお話を伺っていました。

こうした熱のこもりに加えて、体の中に別のサインも見え始めていました。

胸の硬さとのぼせが同居している

大胸筋のあたりを触らせていただくと、はっきりとした硬さがありました。前ならえの姿勢で腕をゆっくり上げていただくと、胸のあたりが詰まってくる感覚があると伺いました。みぞおちの脇、肋骨の下の三角形になっているところにも押すと痛みがあり、ふくらはぎにも熱がこもっているような硬さが見られました。皮膚の症状と並行して、呼吸に関わる場所全体が固まってきているような印象を持ちました。体の中で熱が行き場を失うと、こうして胸まわりや下肢に別々のサインが同時に出てくることがあるんです。

次に、こうした体の状態から私が考えた見立てをお話しします。

施術者の見立て かゆみの奥で何が起きているのか、体のどこにサインが出ているのかを、順にお話しします。

肋骨のイラストを取り囲むように、1から5の番号順でかゆみ発生までのメカニズムを配置した図解スライド。

大胸筋の硬さが呼吸を浅くしている

大胸筋は呼吸に深く関わっており、肋骨の中に収まっている肺の調子が落ちてくると硬くなってきます(1)。胸まわりの筋肉が硬くなると、肋骨の中の空間が狭くなり、心臓も窮屈な状態になります。そうすると、行き場を失った熱が下方へ流れて、ふくらはぎに熱がこもってくるように感じられる方がいらっしゃいます(2)。皮膚のかゆみやのぼせは、こうした呼吸と循環の詰まりが、皮膚という出口に現れているのではないかと考えています。

呼吸から皮膚への流れが見えてくると、掻いてしまう場所の共通点にも意味が浮かんできます。

皮下と皮膚だけのところに汗が反応している

胸の下、バストのアンダーラインや、背中の骨のゴリゴリしたあたり、鎖骨まわりなど、皮下組織が薄く、骨と皮膚がすぐ隣り合わせになっている場所に、かゆみが出やすい方が多いと感じています。皮下と皮膚だけの薄い部分は、その下に血が滞ったときに、汗がそこに反応してかゆみのサインが出やすくなります(3)。特に鎖骨まわりは神経が出ている場所でもあり、皮膚の症状が神経の負担と重なって出てくることがあります(4)。掻いてしまう場所を丁寧に見ていくと、体の中で何が起きているのかがだんだん見えてくるんです。

皮膚の薄い場所という共通点の背景には、女性の体ならではのめぐりの特性も関わっていると感じています。

毛細血管が多い場所ほど詰まりやすい

女性の体には、特に毛細血管が多く発達している場所があります。分かりやすい例で言えば、妊娠期に乳腺のまわりで毛細血管が発達して血流が良くなる一方で、もともとその周辺の血流が悪いと詰まって乳腺炎になる、というお話です(5)。毛細血管が多い場所は、それだけ詰まりの現象も大きく出やすくなる、と感じています。皮膚の症状も同じで、毛細血管が集中する部位ほど、めぐりが滞ったときのサインが強く出るのではないかと考えています。歯垢がたまって、その先に細菌が繁殖して虫歯になるのと似た構図で、皮下に滞りが残っていると、皮膚のかゆみとして表に出てきやすいと感じています。

次に、この見立てをもとに実際にどのように体を整えていったかをお話しします。

施術内容と経過 見立てを踏まえて、胸まわりと鎖骨周辺のめぐりを整える施術を組み立てました。順にお伝えします。

Phase 1(温める)からPhase 2(微細振動で流す)への2段階の施術アプローチと効果を一覧化した比較スライド。

ホットパックで熱を感じられる状態を作る

まず、胸まわりの硬さを緩めるために、ホットパックで温めていきました。ホットパックを当てて、しっかりと温かさを感じられることが大切だと感じています。冷えていて熱を感じにくい状態のままでは、体の中の熱の抜け方も整いにくいと考えているからです。この方の場合、温めることで胸まわりの緊張が緩み、みぞおちの脇の三角形の痛みも、少しずつ変化していきました。呼吸のしやすさも、ホットパックの後で明らかに変わっていくのを感じました。

温まった状態が整ったところで、より局所的なアプローチへと施術を進めていきました。

超音波とかっさで鎖骨まわりのゴミを流す

上着を外していただき、鎖骨周辺に超音波を当てていきました。超音波は、振動しながらかっさのように皮下を刺激して、溜まっているものを流しやすくする働きが期待できるんです(6)。鎖骨周辺は神経が出ているので、直接強く押したり、ゴリゴリと刺激したりするのではなく、超音波で細かく振動を伝えていく方が、体への負担が少ないと感じています。プローブを当てた場所から、その直径の1.5倍ほどの距離までを細かくケアしていくのがポイントだと感じています。左右で反応を比べていくと、施術後にはゴリゴリの感じ方や痛みの出方に、はっきりと差が出てきました。

次に、こうした施術を通じて改めて感じたことを、考察としてお話しします。

施術を通じての考察 今回の施術で改めて感じた、体を読み解くうえで大切だと思うポイントを、二つお伝えします。

痛みの捉え方と、鳥かご風のイラストを用いた「2Dの呼吸」と「3Dの呼吸」の違いを説明する考察スライド。

痛みのあるゴリゴリは体からのサイン

体の中には骨や筋肉があり、多少のゴリゴリした感覚は誰にでも存在します。大切なのは、ゴリゴリがあるかないかではなく、押したときに痛みを伴うかどうかだと感じています。骨や神経は本来、押されただけで強く痛むものではありません。押して痛いということは、そこに何か余計な負担が積み重なっているサインとして、体が教えてくれているんじゃないかな、と思っています。ゴリゴリをゼロにすることを目指すのではなく、痛みを伴わない状態を目安に体を整えていくことが、無理のない道筋になると考えています。

痛みというサインを見誤らないためにも、体の使い方そのものに目を向ける必要があると感じています。

呼吸は3Dで膨らませるもの

呼吸というと、多くの方が胸を前へ上へと膨らませることを思い浮かべます。ですが、本来、呼吸は前・横・後ろ、そして上下と、鳥かごのような肋骨全体を3Dに膨らませていくものだと感じています。前や上だけで呼吸をしていると、だんだん息苦しくなり、肩を上げて息を吸うようになる。すると、肩や首、胸まわりの筋肉が硬くなり、のぼせや皮膚のかゆみへとつながっていきます。手首で肘を合わせて顎で押さえ、背中を丸めるようにして呼吸すると、背中側が膨らみやすくなり、体の緊張も緩みやすくなります。優秀ですね、と感じるのは、こうしたちょっとした姿勢の工夫で、体の中の熱の抜け方がすっと変わっていく方がいらっしゃるところです。

こうした呼吸と体のめぐりの関係を、最後にまとめていきます。

まとめ

大きな水彩の花のイラストを背景に「皮膚×呼吸×めぐり」と書かれた、全体のまとめメッセージスライド。

皮膚のかゆみは、皮膚の上だけを追いかけていても、なかなか出口が見えてこないことがあります。今回の症例では、胸まわりの硬さと呼吸の浅さ、そして鎖骨まわりのめぐりの滞りが、皮膚のサインとして表に出てきていました。

同じように、夜のかゆみやお風呂上がりののぼせに悩んでいらっしゃる方は、まずご自身の胸まわりや鎖骨のあたりを、そっと触れて確かめてみてください。硬さや冷たさがあるようであれば、それは呼吸が浅くなっているサインかもしれません。

皮膚に出ているものを、皮膚だけで追わない。呼吸を整え、胸まわりのめぐりに目を向けていくことで、皮膚は自然と落ち着いていく場所を、少しずつ見つけていってくれる。私はそう感じています。

エビデンスに基づく考察

本症例で観察された胸まわりの硬さ、鎖骨周辺のゴリゴリ、風呂上がりののぼせ、デコルテの掻痒といった複合サインについて、文献レビューの結果を(n)ごとに整理する。

(1) 大胸筋と呼吸の関係については最も強い裏付けが得られた。大胸筋は補助吸気筋として胸郭を引き上げる役割を担い、その筋力および伸展性が胸郭拡張性ならびに努力性肺活量と有意に相関することが観察研究および総説で確立されている(L-001、L-002、L-003)。臨床観察と解剖生理学的知見が明確に一致する領域である。

(2) 胸郭の狭小化がふくらはぎの熱こもりへ連鎖するという経路については、呼吸筋ポンプと下肢静脈還流の連動という機序的裏付けが得られた(L-004、L-005、L-006)。ただしこれらは健常者を対象とした呼吸生理学実験や末梢循環の概論であり、「胸郭拘束→下肢鬱熱→皮膚ののぼせ」という一連の連鎖を臨床で直接検証した研究は本ソース内では確認できず、機序的推論の段階にとどまる。

(3) 皮下組織の薄い部位で血流滞りに汗が反応して掻痒が生じるという観察は、皮膚血流と発汗率の独立した関連(L-007)、発汗誘発性掻痒の臨床定式化(L-008)、皮膚交感神経活動と血管拡張の連動(L-009)によって部分的に支持される。一方、「皮下が薄い部位に選択的に掻痒が集中する」という空間的特異性を直接示す観察研究は本ソース内では乏しい。

(4) 鎖骨周辺の神経負担と皮膚症状の重なりについては、鎖骨上神経絞扼症候群の存在(L-010)、周辺筋・線維性構造による絞扼の解剖学的基盤(L-011)、神経因性掻痒の病態生理(L-012)によって機序が支持される。ただし絞扼症例の多くは疼痛や感覚異常が主症状であり、掻痒を主訴とした臨床連結の直接検証は今後の課題として残る。

(5) 毛細血管が密な部位で詰まりの現象が顕著になるという主張は、乳腺炎における乳汁うっ滞の病態(L-013、L-014、L-015)により、局所の流動性低下が炎症へ相転移する共通機序として比較的確立されている。

(6) 超音波の微振動による皮下ドレナージ作用は、キャビテーションを介した骨格筋灌流増大(L-016)、低周波超音波の即時的血管拡張(L-017)、音響流によるマトリックス弛緩(L-018)によって物理療法学的機序が確立されている。ただし対象組織は骨格筋やアキレス腱であり、鎖骨周囲皮下組織への直接臨床応用に関する対照試験は本ソース内には確認できない。

以上の統合から、(1)(5)(6)は文献的裏付けが十分に得られ、(2)(3)(4)は機序的推論として支持されるが臨床アウトカムとしての直接エビデンスは乏しい段階と評価される。本症例で採用された胸郭・鎖骨周辺への物理療法アプローチは既存文献の機序と整合するが、部位特異的な臨床再現性については症例集積および対照試験による今後の検証課題に位置づけられる。

参考文献・調査結果

(1) 大胸筋は呼吸に関わり、肺の状態が落ちると硬くなる
文献状態:あり
L-001:Okrzymowska P et al. (2020). Relationships between Respiratory Muscle Strength, Chest Wall Expansion, and Functional Capacity in Healthy Nonsmokers. Journal of Exercise Rehabilitation. URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32509705/
(邦題:健常非喫煙者における呼吸筋力、胸郭拡張性、機能的能力の関連性)
引用箇所:最大吸気圧および最大呼気圧が、中部胸郭(P=0.005、P=0.006)および下部胸郭(P=0.012、P=0.020)の拡張性と統計学的に有意な正の相関を示すことが確認された。
該当論点:大胸筋を含む補助吸気筋の機能状態が胸郭可動性と直結するという(1)の観察を、健常者を対象とした定量データで裏付ける。

L-002:Welch JF et al. (2022). Neuromuscular and chest wall disorders. Frontiers in Physiology. URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9237333/
(邦題:神経筋・胸壁障害)
引用箇所:胸鎖乳突筋、斜角筋、大胸筋(および小胸筋)、前鋸筋下部線維、広背筋下部線維が補助吸気筋群を構成することが総説で示されている。
該当論点:大胸筋を補助吸気筋として位置づけるという(1)の前提を、解剖生理学的総説の視点から支持する。

L-003:Jackson RM et al. (2022). Investigation of pectoralis muscle strength and its relationship with pulmonary function in patients with idiopathic pulmonary fibrosis. Multidisciplinary Respiratory Medicine. URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9007028/
(邦題:特発性肺線維症患者における大胸筋筋力と肺機能の関連調査)
引用箇所:大胸筋は上肢の水平内転運動を担うと同時に、補助呼吸筋として換気を助ける胸部骨格筋であることが観察研究で示された。
該当論点:大胸筋の状態が呼吸機能低下と連動するという(1)の主張を、拘束性肺疾患群の臨床データで具体的に補強する。

(2) 胸まわりの空間が狭くなると熱の逃げ場が減り、ふくらはぎに熱がこもりやすい
文献状態:乏しい
L-004:Willeput R et al. (1984). Effect of respiratory maneuvers on femoral venous blood flow in man. Journal of Applied Physiology. URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6238925/
(邦題:呼吸操作がヒト大腿静脈血流に及ぼす影響)
引用箇所:平静吸気時に大腿静脈の血流量が呼気末値と比較して平均65%(±SE 11%)減少することが10例で観察された。
該当論点:呼吸パターンの変化が下肢静脈還流に直接影響するという機序を示し、(2)の胸郭狭窄→下肢鬱滞連鎖の基礎データとなる。

L-005:Miller JD et al. (2005). Modulation of lower limb venous return by the respiratory muscle pump. The Journal of Physiology. URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1665620/
(邦題:呼吸筋ポンプによる下肢静脈還流の調節)
引用箇所:安静時および下腿収縮時のいずれにおいても、呼吸筋の圧発生が下肢からの静脈還流を支配する主要因子であると結論された。
該当論点:呼吸筋ポンプの機能低下がふくらはぎの鬱血につながるという(2)の推論を、生理学的実験で機序的に補強する。

L-006:Hall JE et al. (2010). Venous Return and Peripheral Circulation. NCBI Bookshelf / Clinical Methods. URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK54476/
(邦題:静脈還流と末梢循環)
引用箇所:皮膚の血管叢は熱と血液のリザーバーとして機能し、交感神経由来のカテコラミンに強く反応することが総説で示されている。
該当論点:静脈還流不全時に皮膚微小血管叢に熱が滞留するという(2)の推論を、末梢循環の総説から支持する。

補足説明:胸郭拘束が下肢の鬱熱および皮膚ののぼせに直接連鎖することを臨床例で検証した比較試験は本ソース内には確認できず、いずれも健常者を対象とした呼吸生理学実験や末梢循環の概論にとどまる。機序的推論としては整合するが、臨床アウトカムとしての直接エビデンスは限定的である。

(3) 皮下と皮膚だけの薄い部分は、その下の血流の滞りに汗が反応してかゆみが出やすい
文献状態:乏しい
L-007:Pearson J et al. (2010). Skin blood flow and local temperature independently modify sweat rate during passive heat stress in humans. Journal of Applied Physiology. DOI:10.1152/japplphysiol.00646.2010
(邦題:受動的温熱負荷時に皮膚血流と局所温度が独立して発汗率を修飾する)
引用箇所:受動的な温熱負荷条件下において、局所皮膚血流と皮膚温度が独立して発汗率を修飾することが実験的に示された。
該当論点:皮下微小循環の状態と発汗反応が連動するという(3)の機序面を、ヒトを対象とした生理学実験で裏付ける。

L-008:Castro AP et al. (2013). Atopic dermatitis and vitamin D: facts and controversies. Anais Brasileiros de Dermatologia. URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3900346/
(邦題:アトピー性皮膚炎とビタミンD:事実と論争)
引用箇所:発汗誘発性掻痒、羊毛や脂質溶剤に対する不耐性、毛包周囲の増悪などがアトピー性皮膚炎の臨床徴候として提示された。
該当論点:発汗が掻痒を誘発する現象が臨床的に確立していることを示し、(3)の「汗が反応する」観察を側面から支持する。

L-009:Cui J et al. (2013). Attenuated skin sympathetic nerve activity and cutaneous vascular conductance during heat stress in chronic heart failure. Circulation: Heart Failure. DOI:10.1161/circheartfailure.112.000135
(邦題:慢性心不全における温熱負荷時の皮膚交感神経活動と皮膚血管コンダクタンスの減衰)
引用箇所:体温上昇に伴い皮膚能動血管拡張系と交感神経性発汗運動が連動して活性化する調節メカニズムが解析された。
該当論点:自律神経性血管拡張と発汗の連動を示し、(3)の血流滞り時に汗刺激が皮膚知覚へ影響する機序を裏付ける。

補足説明:「皮下組織が薄く骨と皮膚が隣り合わせの部位に選択的に掻痒が集中する」という空間的特異性を疫学的に示した観察研究は本ソース内では確認できず、いずれも一般的な皮膚血流・発汗生理の研究にとどまる。臨床観察としての妥当性は残るが、部位特異性に関する直接エビデンスは今後の検証課題である。

(4) 鎖骨まわりは神経が出ており、皮膚症状が神経負担と重なって現れやすい
文献状態:乏しい
L-010:Douchamps F et al. (2012). Supraclavicular nerve entrapment syndrome. Joint Bone Spine. URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22088932/
(邦題:鎖骨上神経絞扼症候群)
引用箇所:鎖骨上神経絞扼症候群はまれではあるが、肩前部の帯状痛の鑑別に入れるべき病態として提示された。
該当論点:鎖骨周辺で神経絞扼が生じ得るという(4)の解剖学的前提を、症例報告として支持する。

L-011:Jelev L et al. (2007). Study of variant anatomical structures (bony canals, fibrous bands, and muscles) in relation to potential supraclavicular nerve entrapment. Clinical Anatomy. URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16838268/
(邦題:潜在的鎖骨上神経絞扼に関与する解剖学的変異構造(骨性管、線維性帯、筋)の研究)
引用箇所:鎖骨貫通骨管に加え、鎖骨周囲の線維性および筋性構造が鎖骨上神経絞扼症候群の解剖学的基盤となり得ると考察された。
該当論点:大胸筋等の筋硬結が神経負担に直結するという(4)の機序を、解剖学的変異研究から裏付ける。

L-012:Ständer S et al. (2016). Neuropathic Pruritus: Etiology, Diagnosis and Treatment. Current Problems in Dermatology. URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27578080/
(邦題:神経因性掻痒:病因、診断、治療)
引用箇所:神経系のいずれかの機能異常に起因する掻痒が神経因性掻痒と定義され、解剖学的病態に由来する掻痒がその範疇に含まれると総説で整理された。
該当論点:皮膚自体の炎症病変なしに神経負担が掻痒として現れ得るという(4)の推論を、病態生理学的定義から支持する。

補足説明:鎖骨上神経絞扼の既報症例は疼痛や感覚異常が主症状であり、掻痒感を主訴として鎖骨周辺の物理的アプローチで改善を検証した臨床試験は本ソース内では確認できない。機序的な整合性は高いが、臨床的因果連結の直接エビデンスは限定的である。

(5) 毛細血管が多い部位ほど詰まりの現象が大きく出やすい(乳腺炎の例)
文献状態:あり
L-013:Mitoulas LR et al. (2022). Breast Pumps and Mastitis in Breastfeeding Women: Clarifying the Relationship. Frontiers in Pediatrics. URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35757121/
(邦題:授乳中女性における搾乳器と乳腺炎:関連性の整理)
引用箇所:搾乳器は低圧下でも乳腺のドレナージを促進し、乳腺炎発症の中核因子とされる乳汁うっ滞を回避することが示された。
該当論点:毛細血管が密な組織で流動性低下がうっ滞と炎症につながるという(5)の主張を、乳腺炎の病態から支持する。

L-014:Abou-Dakn M et al. (2010). Inflammatory Breast Diseases during Lactation: Milk Stasis, Puerperal Mastitis, Abscesses of the Breast, and Malignant Tumors. Breast Care (Basel). URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22619640/
(邦題:授乳中の炎症性乳腺疾患:乳汁うっ滞、産褥性乳腺炎、乳房膿瘍、悪性腫瘍)
引用箇所:疼痛が乳汁排出の効率を下げ、その結果として乳汁うっ滞を招く負のフィードバックが生じることが示された。
該当論点:局所の緊張・不快感が排出不全と二次的うっ滞を招く連鎖を示し、(5)の詰まり形成機序を強化する。

L-015:Thomsen AC et al. (1984). Course and treatment of milk stasis, noninfectious inflammation of the breast, and infectious mastitis in nursing women. American Journal of Obstetrics and Gynecology. URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6742017/
(邦題:授乳中女性における乳汁うっ滞、非感染性乳房炎、感染性乳腺炎の経過と治療)
引用箇所:乳汁うっ滞は初期段階では治療内容によらず短期間で回復するが、遷延すると本格的な炎症へ相転移することが観察された。
該当論点:毛細血管密集部位での初期うっ滞が可逆的である一方、遅延すると炎症に相転移するという(5)の臨床的含意を裏付ける。

(6) 超音波は振動しながら皮下を刺激し、溜まっているものを流しやすくする働きが期待できる
文献状態:あり
L-016:Belcik JT et al. (2017). Augmentation of Muscle Blood Flow by Ultrasound Cavitation Is Mediated by ATP and Purinergic Signaling. Circulation. URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28174191/
(邦題:超音波キャビテーションによる筋血流増強はATPとピューリン受容体シグナルを介する)
引用箇所:治療用超音波キャビテーションは、正常マウスで筋灌流を7倍に増加させ、末梢動脈疾患モデルで最大24時間にわたり組織虚血を改善した。
該当論点:超音波が局所微小循環を持続的に増強するという(6)の作用を、生体研究のデータで裏付ける。

L-017:Yeh CK et al. (2008). In vivo imaging of blood flow in the mouse Achilles tendon using high-frequency ultrasound. Ultrasonics. URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18835004/
(邦題:高周波超音波を用いたマウスアキレス腱内血流の生体イメージング)
引用箇所:低周波超音波処置後、即時的な血管拡張の誘導によって微小循環の増大が観察された。
該当論点:超音波が即時的な血管拡張を引き起こすという(6)の作用を、動物実験の観察で補強する。

L-018:Hashmi SA et al. (2021). Low-Intensity Continuous Ultrasound for Tissue Healing and Regeneration. Bioengineering (Basel). URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8235587/
(邦題:組織治癒と再生のための低強度連続超音波)
引用箇所:超音波のキャビテーションおよびマイクロストリーミングは、圧縮と希薄の連続サイクルを介して細胞外マトリックスの局所的弛緩をもたらすとされる。
該当論点:超音波の音響流が皮下組織を「ゆるめて流す」という(6)の物理療法学的作用を、機序面から裏付ける。

 

ページ監修者:阿部英雄

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英気治療院代表

【保有資格】
・鍼灸あん摩マッサージ指圧師
・はり師、きゅう師
・アスレチックトレーナー
・電磁波測定士1級
・サプリメントアドバイザー
・スキンケアアドバイザー、カウンセラー
統合医療認定師

【学会発表・研究会発表】
テーピングと温熱療法を用いた足部へのバランス改善による下肢掻痒感へのアプローチ
手技療法による内臓調節と姿勢調節を目的と頸部と上肢のアトピー性皮膚炎1症例について
鍼灸パルスと手技療法による筋緊張緩和によって背部掻痒感が緩和した1例。
アトピー性皮膚炎の多元的アプローチによる1症例

【書籍】
・女性自身 湯たんぽケア
・Tehamo フォーカルジストニアについての考察

アトピーの症例について詳しくはこちら

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