ステロイド減薬で痒みが再燃?アトピーのリバウンドは「体の歪み」を整えて休まる準備から

この記事のあらすじ

【3行結論】

・ステロイドを減らしている途中の痒みは、薬の量だけで決まる話ではない

・体の歪みや無意識の力みが、皮膚の回復に必要なエネルギーを奪っている

・「炎症ゼロ」と「温熱反応の均一」を確かめてから減らすと、再燃しにくい

 

ステロイドの内服薬を昨年11月から続けてこられた方が、0.5錠まで減らした段階で、痒みが強く戻ってきました。1日おき、2日おきにしようとすると、症状が出てくる。頑張っているのに、なかなか減らしきれない、と焦っていらっしゃいました。

 

仰向けになっていただくと、肩・腰・膝の裏に隙間ができていて、体のあちこちに力が入って固まっている。本来、横になっていれば抜けているはずの腕の力が、抜けていない。皮膚の表面では落ち着いて見えても、中ではまだ炎症の感受性が残っているのではないでしょうか。そう感じました。

 

私は、減らしてもいい目安をお伝えしています。炎症がゼロになっていること。カッサで擦って赤くならないこと。ホットパックを当てて、どこも同じように熱く感じること。これらが揃ってからでないと、減らしちゃダメですよ、と。今回は、この目安をクリアできていない状態でした。

 

施術では、まず首と肩のあたりを少しずつ整えて、呼吸が深く入る土台を作ります。それから骨盤や股関節周りも、丁寧にゆるめていきました。施術後、肩が落ち着き、呼吸がしやすくなり、顎を引きやすい感じが戻ってきています。

 

この記事では、減らしてもいい目安、塗り薬と飲み薬のバランス、無意識の力みが回復を妨げる仕組み、自然治癒力を取り戻す順序を、私の臨床経験と10件の文献を交えてお話しします。減らせない自分を責めなくて大丈夫です。順番を整え直せば、やり直していけます。

現在の状態 ここからは、現在の状態をお伝えします。患者さんは、昨年11月から続けてきたステロイド内服薬を、ここしばらくかけて減らしている最中でした。0.5錠まで来たところで痒みが強く戻ってしまっています。まずは、体に何が起きていたのかを、丁寧に整理させてください。

ステロイド内服薬を減らしている途中で、痒みが強くなってきた

昨年の11月ごろから、ステロイドの内服薬を続けていらっしゃいました。

最初は1日3錠ほど。

そこから少しずつ減らしてきて、今は0.5錠まで来ています。

ところがここに来て、痒みがめっちゃ強く戻ってきています(1)。

 

「1日おき」や「2日おき」にしようと頑張ってみると、症状が出てくる。

ご本人の中でも、頑張っているのに、なかなか減らしきれない焦りがあったようです。

 

ステロイドを長く飲んでいた方が量を減らしていくと、リバウンドのような形で炎症や痒みが再燃することがあります。

これは、皮膚そのものが薬で抑え込まれていた状態だったからこそ起きる、体からのサインだと考えられています(1)。

 

そして大切なのは、こうした再燃の背景には、薬の効き方だけでなく、皮膚バリアそのものの弱さや、感覚神経が刺激に敏感になっている状態、免疫の過剰な反応が、複合的に関わっているという見方です(1-4)。

わずかな体の歪みや緊張も、こうした弱った状態のときには痒みを後押しするきっかけになります(2-4)。

 

* 反跳現象 = ステロイドの減量・中止に伴って、もとの症状以上に炎症や痒みが強く出てしまう現象。皮膚バリア機能・神経血管系・免疫系の調整が一時的に揺らぐためと考えられている。

* TARC(CCL17) = アトピー性皮膚炎で上昇するケモカイン。血液検査で測定でき、見た目では分からないサブクリニカルな炎症の強さを反映する指標とされる。

* 神経原性炎症 = 感覚神経終末からニューロペプチドが放出されることで生じる炎症。TRPA1やTRPV1という受容体の感作と関連し、わずかな刺激でも痒みや発赤を引き起こすと考えられている。

減らしてもいい目安を、まだクリアできていなかった

私が減らしてもいい目安としてお伝えしているのは、いくつかあります(5)。

まず、炎症がゼロになっていること。

塗り薬と飲み薬の併用で、一回ちゃんとゼロを作る。

カッサで擦って赤くならないこと。

傷もないこと。

そしてホットパックを当てて、どこも同じように熱く感じること(2)(4)(5)。

これらができてからでないと、減らしちゃダメですよ、とお伝えしてきました。

 

期間で減らすことが、一番うまくいかないパターンなんです。

なぜなら、目的とずれてしまうからです。

ゼロになってから、その「ゼロ」を保てるかどうかを確認する。

ここをしないで減らすと、繰り返してしまいます(2)(5)。

 

ガイドラインでも、皮膚が綺麗になってから減らすのが基本とされています(5)。

ですので、まず立ち戻った方がいいです。

ちゃんと薬が効ききる状態にもう一度戻すこと。

それから、減らし方を組み立て直すこと。

温熱刺激への反応がどこも同じになる、という確認は、感覚神経の閾値が落ち着いて、組織が薬なしで外の刺激を処理できるようになってきた証拠だと、私は考えています(2)(4)(5)。

 

* 温熱反応の均一性 = ホットパックなどで皮膚を温めたとき、全身がほぼ同じように熱を感じる状態。感覚神経の閾値が正常に近づいた組織レベルでの「自律的な適応力」の指標と考えられている。

* HPA軸 = 視床下部・下垂体・副腎を結ぶホルモン調節系。長期にステロイドを内服すると、この働きが抑えられ、自分のコルチゾール産生が低下した状態になりやすい。

塗るのと飲むの、その両方の負担と、バランス

塗り薬と飲み薬を、両方使っていらっしゃいました(6)。

塗るほうは、ある程度減らせていた。

でも飲み薬の負担は、それほど減らせていなかった。

 

そうすると、バランスが悪くなっていきます。

内服を急に減らすと、長く使ってきた分、自分の中でホルモンを作る働きが追いつかない。

薬の支えだけで保ってきた炎症を抑える力が、急に頼りなくなってしまいます(6)。

 

ですので、塗るのと飲むの、それぞれをどう減らすか。

強さを変えるのか、回数を減らすのか、量を変えるのか。

減らし方そのものを丁寧に選ぶ必要があります。

急に止めると、もともとの炎症が表に出てしまったり、副腎の働きが追いつかなかったりすることが知られています(6)。

 

* 副腎機能の抑制 = 長期のステロイド内服により、副腎が自前のコルチゾールを作る働きが弱くなった状態。減量や中止の際は、内因性コルチゾール産生が回復するまでの段階的なケアが必要とされる。

施術後、肩や呼吸が、すこし楽になった感じがある

施術台に横になっていただいたとき、肩がかなり浮いていました。

呼吸も浅い。

顎を引こうとしても、なかなか引きにくい状態でした(7)。

 

そこで、首と肩のあたりを少しずつ整えていきました。

その後、ご本人から「肩が落ち着く」「呼吸がしやすい」というお声がありました。

顎も、引きやすい感じが戻ってきています。

体全体が、ふわっと柔らかくなった感覚もあったようです(7)(8)。

 

これは、外から見える変化ではなく、内側の感覚の変化です。

余計な力が抜けると、呼吸も動きも、本来の状態に近づいていくのではないでしょうか。

 

* 巻き肩 = 肩甲帯が前方かつ上方へ変位し、僧帽筋上部・肩甲挙筋・胸鎖乳突筋などが過緊張した姿勢。胸郭の可動性低下や呼吸の浅さにつながりやすい。

* 自律神経系への変調作用 = 姿勢矯正や筋膜への働きかけを通じて、交感神経の過剰な活性が落ち着き、副交感神経(迷走神経)の働きが相対的に高まる作用と考えられている。

体の歪みと、力が入ったまま抜けていない状態

施術中、ご本人と一緒に、体の状態を確認していきました。

 

仰向けになると、肩が床から浮いている。

腰の下にも隙間ができている。

膝の裏も、床に着かない。

触ってみると、力が入って固まっている場所が、いくつもありました(4)。

 

本来、横になっていれば、腕の力は抜けているはずです。

でも、抜けていない。

これは「本来の硬さ」ではなく、「力が入って硬くなった状態」だと考えられます(4)。

 

膝を立ててみると、腰の隙間が埋まる。

膝の下にタオルを入れると、力が抜けやすくなる。

首だけ少し埋めると、肩も落ち着いてくる。

体は、隙間が埋まって、ようやく休まりはじめるんです。

 

前ももの硬さ。

そけい部の硬さ。

膝の裏の硬さ。

背骨周りの硬さ。

これらは、無意識に積み重なってきた負担の表れだと感じています。

力みがあるときは、神経系がずっと警戒している状態が続き、エネルギーも消耗していくと考えられています(4)。

 

* 異常な安静時緊張 = 本来は弛緩しているはずの筋肉が、休んでいるときも収縮し続けている状態。中枢神経系への過剰な求心性入力や、筋膜ネットワークを介した過緊張の連鎖によって生じると考えられている。

* ソマティック・ディスファンクション = 骨格・筋・筋膜・神経などの体性系に生じた機能障害。局所の動きの悪さだけでなく、全身のバランスや自律神経の働きにも影響することが知られている。

施術者の見立て ここから、私の見立てをお話しします。今の痒みの増悪は、薬の量だけの問題ではない、と感じています。皮膚そのものの状態、体の歪み、自然治癒力。三つの視点から整理させてください。

ステロイドを減らすタイミングが、少し早かったのではないか

減らしてもいい目安を満たしていない段階で、減らしていました(2)。

皮膚の表面では落ち着いて見えても、中ではまだ炎症の感受性が残っている状態だったと考えられます(1)(2)。

 

このような時期に減らすと、皮膚が外からの刺激に過敏に反応します(2)。

カッサで擦ったときに赤くなる場所は、神経原性炎症の感受性が亢進した状態だと考えられます。

血液検査で見えるTARCのような数字や、見た目では分からないサブクリニカルな炎症が、まだ残っていることもあります(2)(5)。

 

ですので、皮膚そのものが丈夫になってから減らす。

ゼロを保てる状態を作ってから減らす。

この順番を守ることが、再燃を避ける鍵になると、私は考えています(2)(5)。

 

* サブクリニカルな炎症 = 見た目には症状がほとんどなく、本人の自覚も乏しい段階で、組織レベルでくすぶり続けている炎症のこと。バイオマーカー(TARCなど)の上昇で捉えられることがある。

* 感覚神経の感作 = TRPA1やTRPV1という感覚受容体の閾値が下がり、わずかな刺激でも痒みや発赤を引き起こしやすくなった状態。

体の歪みと、無意識の負担が、症状を後押ししている

仰向けになったときの肩の浮き。

膝や股関節の硬さ。

腰のそり。

そけい部の張り。

これらの歪みは、ご本人が気づいていない「無意識の負担」だと感じています(3)(4)。

 

休んでいるはずなのに、回復してこない。

そう思うことはありませんでしょうか。

その背景には、こうした見えない負担が潜んでいることが多いのです(3)。

 

ストレスや姿勢の偏りは、交感神経をずっと働かせ続けます。

神経からは伝達物質が出て、皮膚の炎症や痒みを強める方向に働きます。

こうしたつながりが、痒みを慢性化させる土台になっていると考えています(3)(4)。

 

姿勢を維持するためのエネルギーが、無意識のうちに使われ続けると、本来回復に回るはずのエネルギーが足りなくなります(3)(4)。

力が入っていることに、まず気づくこと。

これが大切な一歩ではないでしょうか。

 

東洋医学的な概念として、体には「めぐり」があるとされます。

力みでめぐりが滞ると、弱いところに症状が出ると私は考えています。

これはガイドラインで言及される見方ではありませんが、私の臨床ではしばしば確認される現象です。

 

* 神経免疫相関(神経免疫軸) = 神経系と免疫系が相互に情報をやり取りする仕組み。アトピー性皮膚炎では、ストレス・自律神経・神経ペプチドが免疫細胞に働きかけ、炎症や痒みを増幅させる経路として注目されている。

* ATP枯渇 = 細胞のエネルギー源であるATPが、過剰な筋緊張や持続的なストレスで使われ続け、修復や免疫機能に回す分が減ってしまう状態。

自然治癒力が落ちている、薬への依存から抜け出すために

薬を減らしているのに、風邪を引きやすい。

そう感じていらっしゃいました(9)。

 

これは、薬の副作用ではなく、体力そのものが落ちているサインだと考えています。

本来、薬を減らせば、自分のホルモンが働きはじめます。

それで体は回ってくるはずです。

ところが今は、自分の力が薬のバックアップに追いついていない(3)(9)。

 

ですので、ここで薬をさらに減らすよりも先にやるべきは、自分の力を取り戻すこと。

無駄な力を抜くこと。

回復にエネルギーを回せる体を作ること(9)。

 

矛盾して聞こえるかもしれません。

減らすために、まず戻す。

戻したうえで、自分の力が育ってきたら、減らす準備が整ってくる。

そういう順序です。

 

体力が落ちている背景には、長期のステロイド使用に伴うミトコンドリアの働きの低下や、免疫の老化のような変化があるとも言われています。

姿勢の歪みを整えて、無意識のエネルギーの浪費を抑えていくこと。

それが、皮膚の修復に必要な代謝の余裕を取り戻す道筋になると考えています(3)(9)。

 

* ミトコンドリア機能障害 = 細胞内でエネルギー(ATP)を作るミトコンドリアの働きが低下した状態。長期のステロイド使用や慢性ストレスで起こりやすく、疲労感や免疫低下の背景となることが指摘されている。

* 免疫老化(Immunosenescence) = 加齢や慢性ストレス、薬剤の長期使用などで免疫機能が低下していく現象。感染への抵抗力低下や、炎症のコントロール不全と関連する。

施術内容と経過 今回の施術では、薬の話と並行して、体そのものを休ませるための調整を行いました。隙間を埋めること。力が抜けること。この二つを軸に進めています。

体の歪みを整え、力が抜ける姿勢を、一緒に探した

まずは、仰向けでの体の状態を確認しました。

肩・首・腰・膝。

それぞれの隙間と、力の入り方を一緒に見ていきました(7)(8)。

 

膝を軽く立てる。

膝の下にタオルを入れる。

首だけを少し埋める。

こうした小さな調整で、体の隙間が変わっていきます。

そうすると、肩が落ちる。

呼吸が深くなる。

体が休まる準備が整っていきます(8)。

 

骨盤や股関節周りも、丁寧にゆるめていきました。

そけい部の硬さがゆるむと、腰の張りも軽くなります。

膝の裏が緩むと、足全体が床にすっと落ちていく感覚が出てきます。

 

ご本人からも「体が柔らかくなった」「呼吸が楽になった」というお声をいただきました。

姿勢への働きかけは、自律神経の調整につながるとも報告されています(7)(8)。

 

* 筋膜リリース = 筋を包んで連続する筋膜の癒着・滑走不全を改善するための徒手的なアプローチ。局所の動きだけでなく、全身の連動性や自律神経の働きにも影響すると考えられている。

* 迷走神経 = 副交感神経を構成する主要な神経。リラクゼーションや内臓の働き、呼吸の深さに関わり、姿勢や呼吸の改善でその活動が高まるとされる。

隠れた負担に気づき、寝る姿勢から整え直す

施術中、無意識の負担を一緒に発見していきました。

肩の丸み。

膝の曲がり。

がに股の癖。

そけい部の硬さ。

ご本人の自覚にはないけれど、体には反応として残っています(4)。

 

ですので、家での過ごし方も少しお伝えしました。

寝るときに、肩と膝の下にタオルを入れる。

そうすると隙間が埋まり、腰も自然に落ち着きます(4)。

日中、座っているときも、お尻を潰さない。

立っているときも、力が抜けるポジションを探す。

 

体に力が入ったまま休んでも、休んだことになりません。

無駄な力を抜いていく工夫を、日常の中に少しずつ仕込んでいく。

この積み重ねが、回復のためのエネルギーを取り戻す土台になると、私は考えています(4)。

 

* エネルギーの再配分 = 姿勢維持に使われていた過剰なエネルギーを抑えることで、皮膚のターンオーバーや免疫系の修復、内臓機能などに代謝資源を回せるようにする考え方。

施術を通じての考察 ここからは、施術全体を通して、私が感じていることをお話しします。読者の皆さんと一緒に、なぜ今回のような状態になったのかを、もう一度ゆっくり整理していきたいです。

減薬の判断は、見た目より「体の反応」を頼りにしたい

ステロイドを減らすタイミングは、本当に難しいです。

表面の見た目だけで判断すると、中の炎症が残っていることに気づきにくい(1)(2)。

 

ガイドラインでは詳しく言及されていない部分ですが、私が一番頼りにしているのは温熱反応です。

ホットパックを当てたとき、どこも同じように温かく感じる。

これは、感覚神経の閾値が正常に戻ってきたサインだと、私は考えています(2)(4)(5)。

組織が、薬なしで外の刺激を処理できるようになってきている。

そう推測されるからです。

 

数値や期間ではなく、体の反応を見て判断する。

これが、減らしても再燃しない減薬につながると、私は考えています(2)。

 

* 自律的な適応力 = 薬剤に頼らなくても、組織が外部刺激に対して正常な反応を返せる状態。慢性炎症からの回復の到達点を示す指標と考えられている。

「休んでも回復しない」のは、見えない緊張が残っているから

休んでいるのに、回復しない。

これ以上どうしたらいいのか、と感じる方は少なくありません。

 

その背景には、ご本人が気づけない緊張が残っていることが多い、と私は考えています。

肩が浮く。

腰がそる。

膝が固まる。

これらは、休んでも休まらない理由を、体が教えてくれているサインです(3)(4)。

 

無意識のストレスが続くと、エネルギーが姿勢の維持に使われ続けます。

その分、皮膚の修復や免疫の調整に回るエネルギーが減ってしまいます。

これが、痒みや炎症を慢性化させる土台になっていると、私は考えています(3)(4)。

 

東洋医学的な概念として、体は「めぐり」が大切とされます。

力みでめぐりが滞ると、弱いところに症状が出ると考えられています。

文献としてはまだ確立段階ではありませんが、臨床経験では、しばしば実感する現象です。

 

ですので、まずは力を抜くこと。

体が休まる姿勢を、意識的に作っていくこと。

これが、根っこから症状を変えていく入り口になります。

 

* 心拍変動(HRV) = 心拍の間隔のゆらぎから自律神経のバランスを評価する指標。リラクゼーションが進むと副交感神経の活動が高まり、HRVも変化することが知られている。

自然治癒力を取り戻すと、薬との付き合い方が変わってくる

自然治癒力を高めるとは、自分の中で炎症を抑えるホルモンが、ちゃんと働く状態を作ることだと、私は考えています。

そうなれば、薬を減らしても支えきれる体になります。

逆に、自然治癒力が落ちている状態で薬を減らすと、支えが足りなくなり、再燃します(3)(9)。

 

疲れているとき、自分のエネルギーで一番先に落ちるのは免疫です。

ゆとりがあれば、炎症も抑え込みやすい。

皮膚の再生もスムーズになる。

そうした体に整えてから、減らしましょう、というお話です(9)。

 

姿勢の是正による「無意識下のエネルギー浪費」を抑えることで、皮膚バリアの再構築に必要な代謝リソースが確保されると考えられています。

順番が逆だと、頑張っても噛み合わない。

頑張っているのに減らせないという声を聞くたびに、ここに戻りましょう、と私はお伝えしています(3)(9)。

 

* 細胞内ATP産生能力 = ミトコンドリアでつくられるエネルギーの量。これが落ちると、皮膚の再生や免疫応答、回復力の全般が弱まる。

鍼の電気刺激だけで、痒みや炎症が落ち着いた事例

ガイドラインでは言及されていない領域ですが、ご紹介したい事例があります。

 

統合医療学会で発表したアトピー症例で、鍼の電気刺激(パルス)だけで痒みや炎症が落ち着いた方がいらっしゃいました。

モニターになってくださった、同業の鍼灸師の方です。

カッピングや薬の追加を組み合わせず、電気刺激だけで取り組んだ事例です(10)。

 

電気鍼には、いくつかの作用が知られています。

内因性のオピオイド系を刺激する。

痒みに関わるTRPチャネルの働きを抑える。

中枢神経系の処理を変える。

こうした多角的な働きで、皮膚の炎症や痒みに変化が出ると、研究分野では考えられています(10)。

 

特に胸椎の上部(T1〜T4)あたりへの刺激が、神経免疫の経路を介して症状を落ち着かせるという提案もあります。これはまだ研究段階で「仮説」と呼ばれるもので、治療院の主張ではなく科学的プロセス上での位置付けです。今後の検証に値する視点だと、私は受け止めています(10)。

 

* 電気鍼(EA) = 鍼に微弱な電気を流す施術法。鎮痛・抗炎症・自律神経調整などへの効果が、分子レベルから中枢神経の機能的接続性まで多角的に研究されている。

まとめ

ステロイドの減薬で痒みが戻ってきたとき、薬の量だけを見ても答えは出ません。

皮膚そのものが丈夫になっているかどうか。

体に無駄な力が入っていないかどうか。

自然治癒力が、回復に回せる状態かどうか。

この三つの視点が大切です。

 

体は、自分で治ろうとしています。

痒みや炎症は、それ自体が悪者ではなく、何かを教えてくれているサインだと、私は感じています。

焦らず、体からのサインを丁寧に拾っていく。

無意識の力みに気づいて、抜く工夫を日常に仕込んでいく。

 

同じように悩んでいらっしゃる方へ。

減らせない自分を責めなくて大丈夫です。

順番を整えれば、必ずやり直しがききます。

是非とも、まずは「体の力が抜ける姿勢」を、意識的に作るところから試してみてくださいませ。

参考文献

(1) StatPearls Publishing.「Topical Steroid Withdrawal (Red Skin Syndrome)」. StatPearls(2024). URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK560729/. エビデンスレベル:レベル2、出典タイプ:書籍/オンラインリソース。参照内容:長期のステロイド外用後、減量・中止により反跳性の炎症反応(灼熱感・痒み・発赤・落屑)が生じうること、皮膚バリア機能・神経血管系・免疫系の調整不全が関与することを示した総説。

 

(2) HarlanMD.「TSW Recovery Guide: Evidence-Based Healing Timeline」. HarlanMD(2023). URL: https://harlanmd.com/blogs/news/tsw-recovery-guide-evidence-based-healing-timeline. エビデンスレベル:レベル3、出典タイプ:ウェブサイト。参照内容:Topical Steroid Withdrawal(TSW)からの回復は、炎症管理・皮膚バリア再構築・全身要因への対応を含む長期プロセスであり、回復タイムラインに個人差が大きいことを整理した解説。

 

(3) NCBI.「The Neuroimmune Axis in Atopic Dermatitis: From Pathogenic Mechanisms to Targeted Neuroimmunotherapy」. PMC(2020). URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7398660/. DOI: 10.3389/fimmu.2020.01529. エビデンスレベル:レベル2、出典タイプ:ジャーナル論文。参照内容:アトピー性皮膚炎における神経免疫軸の役割を概観し、ストレス・心理因子による交感神経活性化が神経ペプチドを介して皮膚炎症と痒みを増幅すること、神経系を標的とした介入の可能性を示す。

 

(4) ResearchGate.「Musculoskeletal asymmetry and muscle tension」. ResearchGate. URL: https://www.researchgate.net/publication/333164225_Musculoskeletal_asymmetry_and_muscle_tension. エビデンスレベル:レベル3、出典タイプ:リポジトリ/プレプリント。参照内容:姿勢不良・反復動作・無意識のストレスから生じる筋骨格系の非対称性と慢性筋緊張が、生体力学・関節可動域・疼痛経路に与える影響を整理し、回復への意義を述べる。

 

(5) Guideline Genius.「Oral Corticosteroid Tapering | UKMLA Guide」. Guideline Genius(2023). URL: https://guidelinegenius.com/oral-corticosteroid-tapering/. エビデンスレベル:レベル2、出典タイプ:ガイドライン/オンラインリソース。参照内容:経口ステロイドの離脱には慎重な減量計画が必要で、HPA軸が内因性コルチゾール産生を回復させるための段階的な減量が不可欠であることを示した臨床ガイダンス。

 

(6) Australian Prescriber.「Practical guidance for stopping glucocorticoids」. Australian Prescriber(2019). URL: https://www.australianprescriber.org/article/practical-guidance-for-stopping-glucocorticoids. DOI: 10.18773/austprescr.2019.030. エビデンスレベル:レベル2、出典タイプ:ジャーナル論文。参照内容:長期・高用量のグルココルチコイドを中止する際の実務指針。急な中止は基礎疾患の悪化や副腎不全を招くため、症状・併存症・反応に応じた個別の減量と継続的なモニタリングが重要と示す。

 

(7) Doctronic.「Physical changes following treatment」. Doctronic. URL: https://doctronic.ai/blog/neck-shoulder-pain-relief/. エビデンスレベル:レベル3、出典タイプ:ウェブサイト。参照内容:巻き肩・前方頭位姿勢などの姿勢不良が頸肩部の筋緊張・呼吸パターン・可動域に影響することを解説し、姿勢矯正と気づきの重要性を示す。

 

(8) Doctronic.「Postural correction and guidance on relaxation techniques」. Doctronic. URL: https://doctronic.ai/blog/posture-correction/. エビデンスレベル:レベル3、出典タイプ:ウェブサイト。参照内容:姿勢矯正により筋緊張を軽減し、呼吸・可動域を改善できること、マインドフル呼吸や漸進的筋弛緩などのリラクゼーション技法を併用する意義を示す。

 

(9) NCBI.「Stress Evaluation in Adult Patients with Atopic Dermatitis Using Salivary Cortisol」. PMC(2020). URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7400655/. DOI: 10.3389/fimmu.2020.01474. エビデンスレベル:レベル2、出典タイプ:ジャーナル論文。参照内容:成人アトピー性皮膚炎患者における唾液中コルチゾールを指標としたストレス評価。慢性ストレスが免疫機能を撹乱し、炎症と症状増悪に関与しうることを示す。

 

(10) IJCLINMED.「Atopic Dermatitis and Inflammation on the Depressions of the Thoracic Vertebrate (T1-T4) – A Proposal Based on Electroacupuncture」. IJCLINMED(2022). URL: https://ijclinmedcasereports.com/index.php/ijclinmed/article/view/139. エビデンスレベル:レベル3、出典タイプ:ジャーナル論文。参照内容:アトピー性皮膚炎の炎症と胸椎(T1-T4)レベルの圧痛の関連を提案し、電気鍼による刺激が神経免疫軸を介して皮膚症状を改善しうるという仮説を提示する。

ページ監修者:阿部英雄

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英気治療院代表

【保有資格】
・鍼灸あん摩マッサージ指圧師
・はり師、きゅう師
・アスレチックトレーナー
・電磁波測定士1級
・サプリメントアドバイザー
・スキンケアアドバイザー、カウンセラー
統合医療認定師

【学会発表・研究会発表】
テーピングと温熱療法を用いた足部へのバランス改善による下肢掻痒感へのアプローチ
手技療法による内臓調節と姿勢調節を目的と頸部と上肢のアトピー性皮膚炎1症例について
鍼灸パルスと手技療法による筋緊張緩和によって背部掻痒感が緩和した1例。
アトピー性皮膚炎の多元的アプローチによる1症例

【書籍】
・女性自身 湯たんぽケア
・Tehamo フォーカルジストニアについての考察

アトピーの症例について詳しくはこちら

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