春夏に悪化するアトピーを、呼吸の浅さと熱の巡りから整理する

この記事のあらすじ

【3行結論】

・春から夏にかけて悪化するアトピーには、複数の要因が重なっていると感じています

・顔のほてりや背中のかゆみは、呼吸の浅さと熱のこもりから読み解けることが多いんです

・ご自身の体に何が起きているかを整理する作業から、できる手当てが見えてきます

今回ご紹介する症例は、4〜5歳の頃からアトピー性皮膚炎とお付き合いしてこられた30代男性のケースです。経理のお仕事をされていて、ちょうど転職を控えていらっしゃるタイミングでした。これまでにご自身でも漢方や整体、グルテンフリーといろいろ試してこられた中で、それでも残る春先から夏にかけてのほてりとかゆみをどう整理していくか、初診の時間をお話を伺うことに使いました。

私が大切にしているのは、「何が問題かを切り分ける」という作業です。アレルギーなのか、ヒスタミンの過剰なのか、炎症なのか、神経や血流の話なのか。同じ「かゆい」でも、原因が違えばやることが変わってくる、と感じています。そして、その整理ができれば、ご自身で打てる手は意外なほどたくさんある、という感覚も是非ともお伝えしたいんです。

【読み終わるころに分かること】

– 春夏に悪化するアトピーの背景に、どんな要因が重なっているのか

– 顔のほてりと背中のかゆみが、呼吸の浅さとどうつながっているのか

– 熱の刺激や頭の冷却で、なぜ炎症が落ち着きやすくなるのか

– ご自身でできるセルフケアの優先順位を、どう付けていけばいいのか

【こんな方に向けて書いています】

長年アトピーとお付き合いしてきて、いろいろ試してもしっくりこない方や、季節によって症状の波が大きい方に、私が初診で何を見て、何から手をつけているのかをお伝えします。

現在の状態 まずはお話を伺うことから始めました。今までやってこられたこと、楽になったこと、よくわからなかったこと。それを整理することが、これから先のヒントになると感じています。

春から夏にかけて重くなる、はっきりとした季節の波

4〜5歳の頃からアトピーがあり、漢方や整体を試してこられたとのお話を伺いました。今は頭、首、デコルテ、背中といった上半身、ここから上に症状が出ているそうです。

特に印象的だったのは、3〜4月から悪化しはじめて夏はずっと続き、楽になってくるのが10月か11月、というはっきりとした季節性でした。1年を通じて、辛い時期と大丈夫な時期がここまではっきりしているのは、気候、湿気、気温、気圧、それからアレルゲンの多さといった環境の変化が、ご自身の症状と深く関係しているサインだと感じています(1)。

ちょうど春先のヒノキの時期と重なるので、もう少しその辺りを伺っていきました。

アレルギーとヒスタミン、背景にある体の反応

過去には花粉症の症状もあったそうですが、ここ数年は薬を飲むほどではない、とのことでした。ですので、生活に支障があるわけではないけれども、反応自体はまだ残っているのかもしれない、と感じています。

粘膜で出れば鼻水やくしゃみ、皮膚で出ればかゆみや赤み。アレルギー反応の出る場所が違うだけで、根っこは同じだったりするんです(2)。

杉やヒノキの花粉症の方は、トマト、リンゴ、桃、メロン、キウイといった食べ物にも内側から反応してしまうことがあります(3)。それから青魚、発酵食品、熟成されたソーセージなど、もともとヒスタミンが多い食べ物もかゆみを増やしやすい、と感じています(4)。

こうした食事や環境の話と並行して、お身体そのものの状態にも気になるところがいくつかありました。

施術者の見立て お話を伺いながら、お身体に触れ、動いていただいて気づいたことをお伝えしていきました。

呼吸の浅さが、顔のほてりに直結している

最近、息苦しさを感じる場面が増えていらっしゃるとのこと。これは是非とも見ておきたいポイントでした。

呼吸が浅くなると、循環が滞り、熱が上に逃げにくくなります(5)。熱は気球と同じで上に外に行きたがるので、行き場を失った熱が顔や首、デコルテに溜まる。これが赤みやほてりとして出てきていると感じています。

腕を真っ直ぐ上に上げていただくと、肘が外に開いてしまう。これは胸の動きが追いついていないサインで、呼吸が浅いことと表裏一体なんです。

そして、その呼吸の浅さは、思いがけない場所にも影響を及ぼしていました。


鎖骨と胸郭の硬さが、神経と腕の感覚に出てくる

胸の硬さがあると、その下を通る神経が圧迫されて、腕がかゆくなったり感覚が変わったりすることがあります(6)。

実際に、小指側、真ん中、親指側と腕を撫でて感覚を比べていただくと、場所によって感じ方が違う。そして万歳の姿勢で肘を曲げて胸を広げると、感覚が少し楽になる。これは神経の通り道が広がったサインだと感じています。

さらに、お顔の表情筋まで含めて見ていくと、もう一段深い見立てが見えてきました。

ほっぺが動かないという、表情筋の弱り

ほっぺを膨らませていただこうとしたら、左右ともにほとんど膨らまない。形状記憶のように固まっていらっしゃいました。

表情筋というのは、もともと魚のエラから派生した呼吸の筋肉なんです(7)。ですので、ほっぺが動かないということは、呼吸が浅いということと密接につながっています。

風船を膨らませていただいたら、ほぼ膨らまない。私はよく「対象年齢3歳の風船です」と笑ってお伝えしているのですが、それぐらい心肺機能が弱っているサインなんじゃないかな、と感じています。

これらの見立てをもとに、実際にお身体を整えていく作業に入りました。

施術内容と経過 見立てを共有したあと、実際に動いていただきながら、ご自身で確認できる手応えをいくつかお伝えしました。

ほっぺの内側からの動きで、顔の赤みが目の前で変わる

ゴム手袋をした指2本で、口の中からほっぺの内側をマッサージしていきました。ほっぺの筋肉は内側からしか下がらないので、外側からだけだとアプローチが届かないんです。

施術の途中で、片側だけ終わったところで鏡を見ていただきました。マッサージした側のほっぺが上がり、口角が上がりやすくなり、ほっぺが膨らみやすくなる。そして、お顔の赤みも変わっていらっしゃいました。

呼吸の入りも、片側だけマッサージしたほうの胸に入りやすくなる。これは表情筋と呼吸筋がつながっているからこその反応で、是非とも体感していただきたい変化でした。

お顔の整理ができたら、次は熱の扱い方をお伝えしました。

熱の刺激で炎症を整える、という発想

60度以上の熱を皮膚に与えると、炎症反応が抑えられることが知られています(8)。電子レンジで濡らしたタオルを1分から1分半温めれば、ご家庭でも作れます。

顔や首にあてていただくと、場所によって熱の感じ方が違う。熱に鈍い場所、暑さを感じにくい場所こそ、炎症が起きているサインなんです。3日から1週間続けると、皮がむけてくる。これは炎症が落ち着いてきたサインで、日焼けのあとの落屑と同じ。乾燥ではなく、いらない細胞が生まれ変わっている、と捉えていただきたいと感じています。

熱を逃がす作業も、同じくらい大切でした。

頭を冷やして、脳の負担を抜く

寝つきが悪い時は、アイスノンを頭の下に敷いて寝るのが優秀ですね。冷凍庫から出した状態でなくて構いません、冷蔵庫から出した常温に近いほうで十分なんです。頭より冷たければ、熱は逃げていきますので。

スマホ、パソコン、イヤホン、目や耳や鼻や口を使えば使うほど、頭に熱が集まります。そして頭が熱を持つと、唇や鼻の下、耳の周りが乾燥してくる。脳の負担を抜くだけで、お顔の赤みが目の前で茶色っぽく落ち着いていく場面もありました。

ここまでの作業を通して、私が感じている全体像をまとめておきます。

施術を通じての考察 ひとつひとつの手当てよりも、何が問題かを整理する作業そのものが、回復への近道だと感じています。

整理することから、手当ては始まる

家計管理と同じで、何にお金がかかっているのかを把握しないと節約のしようがない。お身体も同じで、何が負担になっているかを切り分けるところから始めると、やれることが見えてきます。

アレルギーなのか、ヒスタミンなのか、炎症なのか、神経なのか、血流なのか。同じ「かゆい」でも、原因が違えば対処が変わるんです。

漢方を試して楽になったなら、ご本人の身体に何が起きていたかが分かる。アレルギーの薬で楽になるなら、ヒスタミンの問題だったと分かる。一つひとつの試みが、ご自身の身体の取り扱い説明書を作る材料になると感じています。

その整理の中で、見落とされやすい因子がいくつかありました。

マスク・電磁波・脳の疲労、見落とされやすい三つの因子

マスクをしていると呼吸が浅くなり、ほっぺの筋肉が動かなくなります。家に帰ったあとに、ほっぺのマッサージや呼吸の確認をするだけでも、お顔のリハビリになるんです。

電磁波の影響もあると感じています。パソコンを電源につないだまま使っていると、ディスプレイに埃が集まりやすく、それが皮膚に触れることでかゆみのきっかけになる方もいらっしゃいます。出社した日と在宅の日でかゆみが違う、というのもこのあたりが関わっていると感じています。

そして、脳の疲労。カフェインで気合いを入れて誤魔化すのではなく、一度休めて、頭を冷やして、リセットするほうがお身体には優しい。スマホを一度スリープモードにするのと同じ感覚で、頭にも休息を与えてあげてください。

こうした整理を踏まえて、最後に全体の方向性をまとめておきます。

まとめ

春から夏にかけて悪化するアトピーには、複数の要因が重なっています。一つずつ整理していくと、ご自身でできる手当てが見えてくると感じています。

呼吸の浅さは、顔のほてりにも、背中のかゆみにも、腰の硬さにも顔を出します。横隔膜は腰の筋肉ともつながっているので、呼吸が浅い時に腰も硬くなり、その時にかゆみも出やすい、というふうにすべてつながっているんです(9)。

ほっぺを内側から動かす。胸を広げる。熱の刺激で炎症をチェックする。頭を冷やして脳の負担を抜く。この四つの手当てから始めていくと、ご自身の体調がどう動くかが見えてきます。

良くなる・良くならないという結果だけを追いかけるのではなく、「何が起きているかを整理する」という発想に切り替えていただくと、ご自身の身体に対する見え方が変わってきます。同じ症状で長年悩んでいらっしゃる方は、まずご自身の呼吸の深さと、ほっぺが膨らむかどうか、頭が熱を持っていないかを観察してみてください。そこから、できる手当てが必ず見つかると感じています。

ページ監修者:阿部英雄

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英気治療院代表

【保有資格】
・鍼灸あん摩マッサージ指圧師
・はり師、きゅう師
・アスレチックトレーナー
・電磁波測定士1級
・サプリメントアドバイザー
・スキンケアアドバイザー、カウンセラー
統合医療認定師

【学会発表・研究会発表】
テーピングと温熱療法を用いた足部へのバランス改善による下肢掻痒感へのアプローチ
手技療法による内臓調節と姿勢調節を目的と頸部と上肢のアトピー性皮膚炎1症例について
鍼灸パルスと手技療法による筋緊張緩和によって背部掻痒感が緩和した1例。
アトピー性皮膚炎の多元的アプローチによる1症例

【書籍】
・女性自身 湯たんぽケア
・Tehamo フォーカルジストニアについての考察

アトピーの症例について詳しくはこちら

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