この記事のあらすじ
【3行結論】
・6月から背中→顔→足指と場所を変えて出る湿疹は、外(カビ・汗)と内(疲れ・滞り)が重なったサイン
・ステロイドで表面が収まっても、元を残せばまた別の弱いところへ出てくる
・薬に加えて、皮膚を守る、老廃物を流す、菌環境を整える、疲れを取る、この四つを並行させる
7カ月ぶりに来院された飯島さん(30代・男性・エンジニア)の症例です。6月から始まった湿疹が、どうして場所を変えながら出続けたのか。施術中の会話をたどりながらお話しします。
薬で表面が収まったのに、次から次へと出る場所が変わっていく。この動きの意味を、私なりにお伝えしたいと感じています。
【読み終わるころに分かること】
・湿疹が「収まる」と「本当に落ち着く」の違い
・炎症が強い場所ほど温度に鈍くなる、その意味
・梅雨から夏に体で起きていること
・薬と並行させたい四つのアプローチ
【こんな方に向けて書いています】
同じ場所に何度も湿疹が出る方、ステロイドで抑えたのに別の場所へ広がっていった方、梅雨から夏にかけて症状が揺らぐ方に向けて書いています。
現在の状態 7カ月ぶりに来院された飯島さんに、6月からの経過を伺いました。まずは、出ている場所とその順番を整理していきます。
半年ぶりに来られたとき、湿疹はすでに始まっていた
このかたは30代のエンジニアで、うちに来られるのは7カ月ぶりでした。6月中旬に背中の真ん中と腰の前に湿疹が出て、皮膚科でステロイドを処方され、いったん収まったそうです。
けれど、そのあと顔にも出て、また背中も出てきて、最近は足の指がかゆくなってきたと伺いました。
背中を見せていただくと、真ん中と腰の周辺にポコポコと波状の湿疹が出ていました。「ここはステロイドが出されたけど、なぜ炎症が起きたのかは聞いていない」というお話でした。
次に、出方の順番を追ってみます。
次から次へと、出る場所が移っていく
出方の順番は、背中 → 顔 → また背中 → 足指、という流れでした。7月の頭に顔に湿疹が出たときはステロイドを塗って1週間くらいで良くなったけれど、おとといからまた出てきたそうです。
一方で足の指は今も何も塗っていない状態で、「一番かゆいのはここ」とおっしゃっていました。
同じ症状が同じ場所で繰り返しているのではなく、別々の場所に順番に出ている。この移り方には、体の側からのサインが隠れているんじゃないかな、と感じています。
そして、実際に一番強く出ている場所は、ご本人が一番かゆいと感じている場所とは違うことも見えてきました。
一番かゆいのは足指、一番強く出ているのは背中
このかたの中では、足の指のかゆみが一番気になっていました。けれど、実際に見せていただくと、背中の湿疹の方がずっと強く出ていました。
私は「かゆい感覚と、実際の炎症の強さは、一致しないことがあるんですよ」とお伝えしました。背中は薬を塗っているぶん、感覚としては抑えられているんです。
かゆみの感覚と、実際に炎症が起きている場所は、必ずしも重ならない。ここが症状の全体像を把握するときに、なかなか難しいところなんです。
こうした現在の状態を整理したうえで、次に私の見立てをお話しします。
施術者の見立て 背中・顔・足指と場所を変えて出ている理由は、ひとつではないと感じています。外側の要因と、内側の要因が重なったときに、体は「弱いところ」に炎症を出してくる、というのが私の見立てです。
梅雨のカビと、夏の汗、外から来ているもの
6月はカビが増える季節です。皮膚の上には常在菌がいて、そのバランスが保たれていることで肌は落ち着いています。ところが、カビが増えすぎると皮脂に反応して炎症を起こすものがあると言われています(1)。飯島さんが以前「脂漏性皮膚炎」と言われた経緯がある、というお話も、この見立てとつながります。
さらに、夏場は汗をかいたままにすると、肌の弱酸性の環境が崩れて、ブドウ球菌などの菌が広がりやすくなります(2)。ですので、汗を拭き取るだけでなく、pHを整える化粧水を使うことにも意味があるんです。
このように外側の要因を整理したうえで、次に体の内側で起きていることをお話しします。
疲れ・滞り・炎症という三段階
体の中では、疲れがまず溜まって、次に血の巡りが悪くなり、その結果として炎症が起きる、という三段階が進んでいる、と私は感じています(3)。
飯島さんの背中を触ると、肋骨と肋骨の間がゴリゴリしていて、老廃物が溜まっているのが分かりました。ここに汗が加わると、老廃物が溜まった場所は内側から炎症を起こしやすい状態になります(4)。
さらに、目を使う仕事をされているので、眼精疲労も重なっている可能性があります。目が疲れると神経が過敏になって、かゆみを感じやすくなるケースがあるんです(5)。
こうした内側の要因と外側の要因が重なると、次に「なぜステロイドだけで終わらせない方がいいのか」という話につながります。
表面が収まっても、元を残せば別の場所に出る
ステロイドで表面が落ち着いても、内側から炎症を起こしているものが残っていれば、また別の場所に出てきます。飯島さんが背中→顔→足指と場所を変えて出ているのは、この可能性が高いと私は考えています。
そして、ステロイドを急にやめるのも避けたいところです。本来は皮膚がツルツルになってから少しずつ減らしていく「プロアクティブ療法」というやり方があって、数カ月から数年かけて体のホルモンのリズムに戻していくものなんです(6)。
こうした見立てを踏まえて、次に実際に行った施術と経過をお話しします。
施術内容と経過 見立てをもとに、飯島さんの体で起きていることを確かめながら、施術を進めていきました。
熱いおしぼりで炎症の深さを確かめる
まず、炎症が本当に落ち着いているかどうかを確かめるために、温めたおしぼりを当てるやり方をご紹介しました。表面的に収まっていても、内側で炎症が続いている場所は、温度の刺激に鈍く感じられることがあるんです(7)。
飯島さんの腕と背中と顔を比べて当てていくと、指先や皮膚の薄いところの方が熱く感じるはずのところ、背中や腰は「あまり感じない」というお話でした。指先の方が神経が多いので、本来はそちらが強く反応するはずなんです。
炎症が起きているところは、熱の感覚が鈍くなる。これがひとつの手がかりになります。ご自宅でも電子レンジで温めたおしぼりを使って同じことができます、とお伝えしました。
次に、背中に溜まっていた老廃物を流していきました。
超音波で背中のゴミを浮かせて流す
背中の肋骨まわりに溜まっていた老廃物を、キャビテーション(超音波)を使って流していきました。超音波の振動で、組織の中の滞りを浮かせて動かすはたらきがあります(8)。
施術中に、飯島さんに「ゴリゴリしてる感じ、書いている感じに近いでしょう」とお伝えしました。かゆくなる場所と、老廃物が溜まっている場所は、重なっていることが多いんです。
背中を流していくと、明らかに触った感じが変わっていきました。「肋骨と肋骨の間がゴリゴリしていたのが、少しずつ落ち着いていく」という変化を、私も指の感覚で確認していきました。
続けて、内ももに出ていた湿疹への対応もお話ししました。
エアフィルムで擦れから守る
飯島さんの内ももには、パンツで擦れる場所に湿疹が出ていました。かゆみがあって書いて、書くたびに摩擦で回復を遠ざける、というループに入りやすい場所です。
そこで、エアフィルムという通気孔のあるフィルム剤を貼って、皮膚を守るやり方をご紹介しました。皮膚を摩擦から守ることで、回復の妨げを減らせるんです(9)。
「守るだけで、触らないだけで、良くなることが結構ある」というお話をして、実際に貼ってみると、飯島さんも違和感がないとおっしゃっていました。
こうした施術を通じて、私自身も見えてきたことがありました。
施術を通じての考察 背中・顔・足指と場所を変えていた湿疹には、それぞれ別の要因が重なっていました。ここでは、施術中に見えてきた気づきをお話しします。
弱いところに、外と内の負担が重なって出る
湿疹が出ている場所を並べてみると、いずれも「疲れが溜まっていた場所」と重なっていました。背中はデスクワークで動きが少なく、肋骨まわりに老廃物が溜まりやすい。顔は、パソコン仕事で緊張が抜けにくい。足の指は、座っていることが多いぶん、血の巡りが悪くなりやすい。
体は「弱いところ」に炎症を出してきます。そして、その弱いところにカビや汗といった外側の要因が重なると、湿疹という形で表に出てくる。
これは、7カ月間、体のケアに来られていなかったこととも重なります。「車の車検と同じで、普段のケアが空いていた期間は、たとえ肌の調子が良くても、疲れは静かに溜まっていく」というお話をしました。
次に、かゆみと神経の関係についてお話しします。
かゆみが先か、神経の過敏が先か
このかたは「かいていると、たくさん上がっている気がする」とおっしゃいました。これはとても大事な観察です。
かゆみは、外から刺激されて起きるケースと、内側の不調で神経が過敏になって起きるケースがあります。この二つは、対処の意味が違ってくるんです(10)。
眼精疲労で神経が過敏になっているときは、炎症が抑えられても、暑さや刺激を強く感じてしまうことがあります。目のケアをすると感覚が正しく戻ってくる、というのはこうした背景があるんです。
だから、湿疹の対処は薬だけで終わらせない。ここが症例全体を通じて、私が伝えたいところなんです。
まとめ
この方の湿疹は、外側の要因(カビ・汗)と内側の要因(疲れ・滞り)が重なって、体の弱いところに順番に出ていたものでした。
ステロイドは、起きてしまった炎症を抑えるためのものです。ただし、なぜ炎症が起きたかという元を残すと、また別の場所を探して出てきます。ですので、薬と並行して、皮膚を摩擦から守るフィルム、老廃物を流す施術、菌環境を整えるシャンプーや化粧水、そして目や体の疲れを取るケア、この四つを並べていくことが大切だと感じています。
同じように、湿疹がステロイドで表面は収まったのに、別の場所に出てきて悩んでいらっしゃる方は、まずご自身の体の「疲れ」と「滞り」に目を向けてみてください。皮膚の上に出ているサインを、皮膚だけで追わない。体全体の巡りを整えていくことで、皮膚は自然と落ち着いていく場所を見つけてくれます。
エビデンスに基づく考察
本症例で提示された臨床観察は、大きく三つの軸で文献との整合が確認できた。第一は、皮膚表面の菌環境と pH の相互作用である。(1) の脂漏性皮膚炎における Malassezia とオレイン酸の関係(L-001、L-002)、および (2) の汗の停滞による角質層 pH のアルカリ化と黄色ブドウ球菌定着(L-003)は、いずれも分子・免疫学的機序として十分に確立されており、飯島さんの背中と顔で観察された病変部位選択性を強く裏付ける。
第二は、局所循環と炎症の連続性である。(3)(4) の「疲れ→滞り→炎症」モデルおよび老廃物貯留部位の炎症脆弱性は、鬱滞性皮膚炎(L-004)の病態生理と概念的に一致し、静的姿勢が微小循環障害を介して皮膚炎を惹起する経路を説明する。加えて (8) の超音波キャビテーションによる血流増強(L-011:最大 7 倍)と組織線維化の解消(L-012)は、施術で用いた物理療法の作用機序を強く裏付けている。
第三は、感覚・神経系の二面性である。(7) の炎症部位における温度感覚の閾値上昇は L-009 で定量的に、L-010 で臨床的に確認された。(9) の掻破反復による表皮内神経の側枝分岐(L-013)、および (10) の末梢性掻痒と神経因性掻痒の分類(L-014)は、飯島さんの「背中は感覚鈍麻・足指は掻痒突出」というミスマッチを整合的に説明する。(6) のプロアクティブ療法(L-007、L-008)についても再燃予防の優位性が示されている。
一方、(5) の眼精疲労と皮膚感覚過敏の直接的リンクは限定的であった。慢性ストレスが HPA 軸を介して中枢性感作を促す一般機序(L-005、L-006)は妥当だが、眼精疲労単独と掻痒過敏を直接検証した研究は本ソース内に確認できず、臨床仮説としての位置づけに留まる。今後の検証課題である。
参考文献・調査結果
(1) カビ(マラセチア)が皮脂に反応して炎症を起こす傾向がある
文献状態:あり
L-001:University of Connecticut / Icahn School of Medicine at Mount Sinai Research Group (2020). An update on the microbiology, immunology and genetics of seborrheic dermatitis. Experimental Dermatology.
(邦題:脂漏性皮膚炎の微生物学・免疫学・遺伝学に関する最新知見)
引用箇所:脂漏性皮膚炎はマラセチアによる遊離脂肪酸の水解と、パターン認識受容体・インフラマソーム・IL-1β・NF-kB を介する免疫活性化から生じる。M. restricta と M. globosa が最も病原性が高く、刺激性オレイン酸を大量に産生する。
該当論点:マラセチアが皮脂を分解し、生成されるオレイン酸などが炎症経路を活性化するという (1) の見立てを、分子・免疫学的機序として直接裏付ける。
L-002:Chung Ang University, Seoul, Korea (2005). The role of sebaceous gland activity and scalp microfloral metabolism in the etiology of seborrheic dermatitis and dandruff. Journal of Cosmetic Dermatology.
(邦題:脂漏性皮膚炎とふけの病因における皮脂腺活性と頭皮微生物代謝の役割)
引用箇所:マラセチア菌は脂質を必要とし、皮脂と中性脂肪から遊離脂肪酸を分解生成する。飽和脂肪酸を消費し不飽和脂肪酸を残す。改変された皮脂分泌物の浸透が炎症を引き起こす。
該当論点:皮脂を分解した後に残る不飽和脂肪酸が皮膚に浸透して炎症を起こすという機序を代謝レベルで補強する。
(2) 汗を放置するとpHが弱酸性から離れ、常在菌のバランスが崩れる
文献状態:あり
L-003:Frank Rippke, et al. (2004). Stratum corneum pH in atopic dermatitis: impact on skin barrier function and colonization with Staphylococcus Aureus. American Journal of Clinical Dermatology, 5(4), 217-223.
(邦題:アトピー性皮膚炎における角質層pH:皮膚バリア機能と黄色ブドウ球菌の定着への影響)
引用箇所:フィラグリン分解や発汗分泌の低下、皮脂脂質・表皮リン脂質からの遊離脂肪酸生成の障害が関与する。角質層の脂質構造と代謝は酸性 pH を必要とするため、これらの変化は皮膚バリア機能の障害に寄与する。
該当論点:汗の分泌低下と脂質代謝の乱れが弱酸性の維持を崩し、バリア機能低下と黄色ブドウ球菌の定着を招くという (2) の見立てを直接支持する。
(3) 疲れ→滞り→炎症の三段階で体は不調が進みやすい
文献状態:あり
L-004:Juliana Machado Canosa, et al. (2023). Stasis Dermatitis: An Overview of Its Clinical Presentation, Pathogenesis, and Management. American Journal of Clinical Dermatology.
(邦題:鬱滞性皮膚炎:臨床像・病態生理・管理の概観)
引用箇所:鬱滞性皮膚炎は下肢の慢性炎症性皮膚疾患であり、静脈逆流に起因する静脈高血圧の皮膚症状である。下肢の炎症が皮膚変化を駆動する中心的役割を担う。
該当論点:循環の滞りが局所炎症へ移行するという「疲れ→滞り→炎症」の三段階モデルを、鬱滞性皮膚炎の病態生理を通じて概念的に裏付ける。
(4) 老廃物が溜まった箇所は内側から炎症が起きやすい
文献状態:あり
L-004:Juliana Machado Canosa, et al. (2023). Stasis Dermatitis: An Overview of Its Clinical Presentation, Pathogenesis, and Management. American Journal of Clinical Dermatology.
(邦題:鬱滞性皮膚炎:臨床像・病態生理・管理の概観)
引用箇所:鬱滞性皮膚炎は下肢の慢性炎症性皮膚疾患であり、静脈逆流に起因する静脈高血圧の皮膚症状である。下肢の炎症が皮膚変化を駆動する中心的役割を担う。
該当論点:鬱血・停滞領域が慢性炎症の温床になるという事実を通じて、老廃物貯留部位が「内側から」炎症を起こしやすいという (4) の臨床観察を病態論的に補強する。
(5) 眼精疲労は神経の感覚過敏を引き起こすことがある
文献状態:乏しい
L-005:University Hospital Münster Department of Psychosomatics and Psychotherapy (2018). Relations between a standardized experimental stressor and cutaneous sensory function in patients with chronic pruritus and healthy controls: an experimental case-control study. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology.
(邦題:慢性掻痒患者と健常対照者における標準化実験ストレスと皮膚感覚機能の関係)
引用箇所:慢性掻痒群でのみ、ほぼ全ての定量感覚検査で少量ながら掻痒が誘発された。中枢性感作プロセスと急性ストレス因子の影響が確認された。
該当論点:急性ストレスが末梢感覚を変化させ中枢性感作を促すという知見が、眼精疲労のような慢性ストレスが神経過敏を招くという (5) の主張を間接的に支持する。
L-006:PGIMER Chandigarh Research Group (2025). The Neuropsychological Dimensions to Pathogenesis of Chronic Spontaneous Urticaria Beyond Autoallergy – A Brief Narrative Review. Indian Dermatology Online Journal.
(邦題:慢性特発性蕁麻疹の病態における自己アレルギーを超えた神経心理学的側面)
引用箇所:慢性的心理ストレスは HPA 軸を活性化し、肥満細胞過活動と掻痒-ストレス循環を強化する。不安・抑うつなどの精神科的併存疾患の高頻度も中枢性感作に寄与する。
該当論点:ストレスが HPA 軸を介して感覚過敏を起こすという機序を示し、眼精疲労由来の神経過敏も同じ経路で説明できる可能性を補強する。
補足説明:眼精疲労そのものと皮膚掻痒過敏を直接検証した研究は本ソース内に見当たらず、掲示の 2 件はいずれも慢性ストレス全般に関する研究であるため、機序としては妥当だが直接的裏付けは限定的と判断した。
(6) ステロイドは急に中止せず、プロアクティブ療法で段階的に減らすやり方がある
文献状態:あり
L-007:Anne Sofie Frølunde, et al. (2021). Appraisal of Proactive Topical Therapy in Atopic Dermatitis: Pros and Cons. American Journal of Clinical Dermatology.
(邦題:アトピー性皮膚炎におけるプロアクティブ外用療法の評価:利点と欠点)
引用箇所:ステロイド外用またはカルシニューリン阻害薬によるプロアクティブ療法は、リアクティブ療法と比較して再燃回数の有意な減少と再燃間隔の有意な延長を示すことが複数の研究で確認された。
該当論点:急な中止ではなく段階的な間欠塗布(プロアクティブ療法)が再燃を抑えるという (6) の見立てを、臨床試験レベルで直接裏付ける。
L-008:R. Tanaka, et al. (2017). Computational design of treatment strategies for proactive therapy on atopic dermatitis using optimal control theory. Philosophical Transactions of the Royal Society A.
(邦題:最適制御理論を用いたアトピー性皮膚炎プロアクティブ療法の治療戦略の計算論的設計)
引用箇所:プロアクティブ療法は初期制御後の再燃を防ぐことを目的とする。数週間の強力な外用剤で「制御を得た」後、週単位の間欠治療でサブクリニカルな炎症を抑える。
該当論点:寛解後もサブクリニカル炎症を持続抑制するという治療設計を、理論と実装の両面から補強する。
(7) 炎症が強い場所は温度の感覚が鈍くなることがある
文献状態:あり
L-009:Magdalena Krzyżanowska, et al. (2015). Assessment of the Sensory Threshold in Patients With Atopic Dermatitis and Psoriasis. Postepy Dermatologii i Alergologii, 32(2), 94-100.
(邦題:アトピー性皮膚炎および乾癬患者における感覚閾値の評価)
引用箇所:アトピー性皮膚炎および乾癬の病変部皮膚の感覚閾値は、正常皮膚と比較して有意に高かった(p<0.01)。感覚閾値は掻痒重症度と逆相関を示した。
該当論点:炎症が強い病変部で知覚閾値が上昇するという (7) の臨床観察を、定量感覚検査により統計的に裏付ける。
L-010:Edward Via Virginia College of Osteopathic Medicine Team (2014). Asteatotic eczema in hypoesthetic skin: a case series. JAMA Dermatology.
(邦題:知覚鈍麻皮膚に生じる皮脂欠乏性湿疹:症例集積)
引用箇所:外傷や瘢痕の既往を持つ 5 例で、知覚鈍麻領域に紅斑性乾燥性局面と細かな亀裂が生じた。全例で皮脂欠乏性湿疹の発症領域は知覚鈍麻領域内に完全に一致した。
該当論点:知覚鈍麻の領域に湿疹が好発するという臨床事実を通じて、感覚鈍麻と炎症の関連を側面から補強する。
(8) 超音波(キャビテーション)は組織の滞りを浮かせるはたらきがある
文献状態:あり
L-011:J. Lindner, et al. (2017). Augmentation of Muscle Blood Flow by Ultrasound Cavitation Is Mediated by ATP and Purinergic Signaling. Circulation.
(邦題:超音波キャビテーションによる筋血流増強は ATP とプリン作動性シグナルにより媒介される)
引用箇所:治療用超音波キャビテーションは正常マウスで筋灌流を 7 倍に増加させた。せん断応力依存性の ATP 増加が確認され、その供給源には血管内皮細胞と赤血球の両方が含まれた。
該当論点:超音波が微小循環を大幅に高め、局所の滞りを解消しうるという (8) の見立てを分子レベルで裏付ける。
L-012:Universidade Paulista Department of Physical Therapy (2014). Association between manual lymphatic drainage and therapeutic ultrasound on pain, oedema and the tissue fibrosis in liposuction and lipoabdominoplasty PO. Indian Journal of Plastic Surgery.
(邦題:脂肪吸引および脂肪腹壁形成術後の疼痛・浮腫・組織線維化に対する徒手リンパドレナージと治療用超音波の併用効果)
引用箇所:徒手リンパドレナージと治療用超音波の併用は腫脹と組織線維化を軽減させ、疼痛を消失させた。
該当論点:超音波が組織間の停滞(浮腫・線維化)を物理的に解消しうるという主張を、臨床介入の面から補強する。
(9) 皮膚を摩擦から守るフィルム剤は回復の妨げを減らす
文献状態:あり
L-013:University Hospital Münster Joint Group (2023). Scratching increases epidermal neuronal branching and alters psychophysical testing responses in atopic dermatitis and brachioradial pruritus. Frontiers in Molecular Neuroscience.
(邦題:掻破はアトピー性皮膚炎と腕橈骨筋掻痒症における表皮内神経の側枝分岐を増加させ、精神物理学的検査反応を変化させる)
引用箇所:慢性的な掻破は皮膚に大きな負荷を与え、掻痒強度の悪化を招く。この反復的機械刺激は苔癬化、表皮バリア機能低下、皮膚炎症の増悪をもたらしうる。
該当論点:掻破の反復による神経・バリアの悪化を示し、フィルムによる摩擦遮断が悪循環を断つという (9) の意義を裏付ける。
(10) かゆみは外部刺激起点と神経過敏起点の二種類がある
文献状態:あり
L-014:Gil Yosipovitch, et al. (2003). Itch: pathophysiology and treatment. The Lancet, 361(9358), 690-694.
(邦題:掻痒:病態生理と治療)
引用箇所:病態生理の理解に基づく掻痒の臨床分類は、末梢性(pruritoceptive)と中枢性(神経因性または神経障害性)の違いを記述する。
該当論点:かゆみを「末梢由来」と「中枢/神経由来」に大別するという (10) の分類を、教科書的知見として直接裏付ける。
ページ監修者:阿部英雄
英気治療院代表
【保有資格】
・鍼灸あん摩マッサージ指圧師
・はり師、きゅう師
・アスレチックトレーナー
・電磁波測定士1級
・サプリメントアドバイザー
・スキンケアアドバイザー、カウンセラー
・統合医療認定師
【学会発表・研究会発表】
テーピングと温熱療法を用いた足部へのバランス改善による下肢掻痒感へのアプローチ
手技療法による内臓調節と姿勢調節を目的と頸部と上肢のアトピー性皮膚炎1症例について
鍼灸パルスと手技療法による筋緊張緩和によって背部掻痒感が緩和した1例。
アトピー性皮膚炎の多元的アプローチによる1症例
【書籍】
・女性自身 湯たんぽケア
・Tehamo フォーカルジストニアについての考察
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