ステロイドから非ステロイドへ、切り替え後に残るかゆみの見立て

この記事のあらすじ

表層のピンクの皮膚がめくれ、下層の巡りを示す緑と青の層が現れるイラストを中心に、過去の炎症性のかゆみと現在の巡りの停滞によるかゆみを対比して解説したスライド。

【3行結論】
・薬でかゆみが落ち着いた後にも、別のかゆみが残ることがあります
・そのかゆみは、姿勢や巡りの停滞が背景になっていることが多いです
・皮膚だけを追わずに、体全体の状態を整えていく視点が大切だと感じています

一ヶ月ぶりにお会いした患者様と、経過をお伺いしながら施術を進めた症例です。お腹や顔のかゆみは落ち着き始めていましたが、首・膝裏・脇に、まだ気になるかゆみが残っていました。この方は皮膚科の先生と相談され、ステロイドから非ステロイド系の外用薬に切り替えた1週間目のタイミングでした。

薬で炎症が抑えられた後にも、別の質のかゆみが顔を出してくることがあります。私はそれを、巡りが止まって熱がこもっているサインとして受け止めています。この症例では、浅い座り方や首が前に出る姿勢の癖から巡りが停滞し、皮膚に「別のかゆみ」として表れていたのではないかな、と感じています。

【読み終わるころに分かること】

・薬でかゆみが落ち着いた後にも「別のかゆみ」が残る理由
・炎症のかゆみと、巡りが停滞して起きるかゆみの違い
・首・膝裏・脇のかゆみが、姿勢や座り方とつながっている見立て
・自宅でしゃがむ動作や喉まわりのケアが役立つ理由

【こんな方に向けて書いています】

ステロイドや非ステロイドの外用薬を使いながら、部分的なかゆみが残り続けていることに疑問を感じている方に向けて書いています。薬の効き方に「あれ?」と感じ始めているタイミングの方にも読んでいただきたいです。

現在の状態 一ヶ月ぶりの来院で、まず経過をゆっくり伺うところから始めました。

人体シルエットの首・脇・膝裏に印が付けられ、残存するかゆみの部位や発生トリガー、背中ケアで和らぐという自己観察の記録がまとめられたスライド。

お腹と顔は落ち着いてきた

前回まで一番強く出ていたのはお腹まわりでした。今回お話を伺うと、そのお腹のかゆみは引き始め、顔のかゆみも落ち着いてきているとのことでした。ステロイド外用薬を続けていくうちに一週間ほどでかゆみが出てくるパターンをご自身で捉えられ、皮膚科の先生に相談し、非ステロイド系の外用薬に少しずつ切り替えられたそうです。ご自分の体の反応を時系列で見て、先生に伝えられていた点はとても優秀ですね。

切り替えから一週間ほど経過し、今のところ大きなかゆみのぶり返しはないとのことでした。ただ、体のほかの場所には、まだ気になる残り方をしているところがありました。

残っているのは首・膝裏・脇

現在お困りなのは、首・膝裏・脇の三か所です。汗をかいた時や服を脱いだ時に強くなる感覚があるとのことでした。ホットパックや、背中に当てるストレッチポールを続けていた期間は落ち着きやすく、行わなかった時期は少しかゆみが戻る、というご自身の気づきも聞かせていただきました。ご自分で「やった時」「やらなかった時」を比べられている点は、とても素敵な観察だと感じています。

こうした偏った残り方をしているかゆみを、私は皮膚の表面だけの問題として捉えていません。次に、この方の体のどこがそうさせているのか、私の見立てをお話しします。

施術者の見立て 薬で落ち着いた後に残るかゆみを、私は「別の原因からくる別のかゆみ」として区別して考えています。

巡りの滞りを示すイラストとともに、姿勢の癖から局所の緊張、巡りの停滞(瘀血)、局所のかゆみ発生に至る4段階のステップを示したスライド。

薬で落ち着いた後に始まる別のかゆみ

ステロイドの外用薬は、炎症をしっかり抑えてくれます。ただ、その働きは免疫を落とすことで得られているという側面もあります(1)。ですので、塗り続けている間に、ばい菌・雑菌・カビ・ウイルスなど、免疫が下がった時に問題を起こしやすいものからのかゆみが、後から乗ってくる可能性があります。薬を使い始めた最初の頃と、続けて塗った時のかゆみの「状態」や「シチュエーション」が違っているかどうかは、大事な観察ポイントなんです。

この方に伺ったところ、最初の頃と今のかゆみとでは、出る時の状況が違うとお答えいただきました。であれば、それは同じ「かゆみ」でも、別の原因が背景にある可能性があると考えます。その「別の原因」として、私が特にいつも意識しているのが、神経の過敏と巡りの停滞から起きるかゆみです。

弱いところに巡りの悪さが出ている

正座でしびれるのと同じで、感覚が過敏になったり異常になったりする現象は、痛みやしびれだけでなく、かゆみでも起きます(2)。疲れが溜まっていたり、体が固まっていたりすると、皮膚の上に何かベタベタと異物があること自体が煩わしいような、そんなかゆみが出ることがあるんです。

それに加えて、体の中で巡りが止まってしまうと、そこに熱がこもり、局所的な炎症とかゆみに変わっていきます(3)。私はこれを「瘀血(おけつ)」と呼んで、皮膚のかゆみを見る時にいつも意識しています。この方の首・膝裏・脇という残り方は、まさに巡りが停滞しやすい場所に一致していました。その巡りの停滞は、この方の場合、日常の姿勢の癖から作られていました。

首の前が引きつれる姿勢の癖

体を拝見していくと、姿勢の癖が見えてきました。首が前に出て、いわゆるストレートネックやスマホネックに近い状態です。そのままの姿勢で鼻呼吸や唾を飲み込む動きをしていただくと、少しやりにくそうでした。試しに手を頭の後ろに組んでいただき、肘を水平に開いていただくと、それだけで呼吸も唾飲みもスムーズになりました。首の前が引きつれる姿勢のままだと、そこの筋肉に力が入り続け、時間が経つほど硬くなり、巡りが悪くなっていきます(4)。

浅く座る癖も影響していました。骨盤が後ろに倒れると背中が丸くなり、代わりに反り腰でバランスを取る姿勢になっていたのです。この座り方が、膝裏や首の張りを一日じゅう作り続ける形になっていました。

こうした姿勢の癖は、頭で分かっても急に変えられるものではありません。ですので、実際の施術と並行して、姿勢のリセットにつながる動きも一緒に確認していきました。

施術内容と経過 今回の施術は、皮膚に触れるより先に、体全体の巡りが戻る姿勢と動きを取り戻すところから始めました。

3色(ピンク・黄・青緑)の円環サイクル図を中心に、「しゃがむ」「仰向け」「ゆるめる」の3つの施術アプローチと施術後の呼吸・座位の変化を解説したスライド。

しゃがんで呼吸をつなげ直す

まず、肩幅で「かかとをつけたまましゃがむ」動作を試していただきました。最初はかかとが浮きそうになり、股関節から膝裏にかけて強い張りを感じられたようです。しゃがんだ状態で、首を「亀の首を伸ばすように」前へ長く出していただき、鼻呼吸と唾飲みを行っていただきました。ここまでで、内腿と股関節の奥に強い伸びを感じられ、逆に呼吸そのものは楽になる、という感覚を持たれたようです。しゃがむ動作は股関節や膝周辺の柔軟性を保つ動きとして、私はとても大事にしています(5)。

しゃがめる体は、それ自体が「今、巡っている」というサインです。立って動く時のこの感覚を、次は寝ている時の体の状態でも確認していきました。

仰向けで背中を床につけていく

続いて、仰向けの状態で腰と肩がどのくらい床から浮いているかを一緒に確認しました。仰向けで腰や肩が浮いてしまっている時は、体全体が丸まった姿勢のまま固まっているサインだと私は捉えています。そこで、膝を立てて足を90度の位置に置いていただくと、腰がベタッと床に付き、鼻呼吸も唾飲みも一気に楽になりました。この方も「背中がべったりつくと、こんなに楽なんですね」と実感されたようでした。

自分で毎回やるのが難しくても、ストレッチポールなどを使えば、自然にその姿勢へ導かれます。背中が床にきちんとつくところまで整ってくると、次に浮かび上がってくるのが首まわりの緊張です。

喉と顎の下を磨いてゆるめる

首まわりについては、直接ゆるめる施術と並行して、喉と顎の下のケアもお伝えしました。舌の付け根から鎖骨・肩甲骨にかけての筋群は、実は一続きになっていて、喉の緊張が首や姿勢に影響していることがあります(6)。顎の下や喉の脇をご自身の指でやさしく磨くように動かしていただくと、この方は「かなり張っている感じがある」と気づかれました。私の同じ場所を触っていただくと、柔らかさの違いに驚いていらっしゃいました。

そのほか肋骨まわり、胸の筋肉、前鋸筋にもアプローチしました。ここが硬いままだと呼吸が浅くなり、上半身の巡りが止まりやすくなります(7)。施術後、座り直していただくと、しゃがんだ時の楽さが座位でも残っている感触があり、左右差も少し整った状態でお帰りいただきました。

こうした施術の中で見えてきたことを、次に少し掘り下げてお話しします。

施術を通じての考察 同じ「かゆみ」という言葉でも、私はそれを一つのものとしては捉えていません。

木の根のように「かゆみ」「お腹の張り」「呼吸の浅さ」という別々の症状が、土台にある「巡りの停滞」という共通の根底に繋がっていることを表した図解スライド。

皮膚だけを追わない

薬でかゆみが引いた後にも別のかゆみが残るのは、皮膚だけを追っていては見えてこない領域だと感じています。虫歯で一番痛い場所を治療した後に、別の歯の違和感が急に気になってくる感覚に近いのです。炎症のかゆみが落ち着いたことで、隠れていた「巡りが止まって起きるかゆみ」が前に出てきたのが、この方の今の状態ではないかな、と考えています。

皮膚の上のサインを、皮膚だけで追わない。この視点を、私はこの症例で「しゃがめるかどうか」というシンプルな指標に落とし込んでいました。

しゃがめる体は整っている合図

今回、施術の前後で「しゃがみやすさ」がはっきりと変わりました。これは、体の巡りや柔らかさの状態を、ご自身で感じ取っていただける、とても分かりやすい指標です。しゃがんだ時に呼吸がしづらい、股関節の奥が張って苦しい、膝が浮いてしまう、といったサインが出ていたら、体全体が固まりに向かっている合図だと私は考えています。

姿勢を意識しても、集中している時にはどうしても崩れがちですが、崩れた後に「戻す」動作を持っておけばよいのです。そしてこの「巡り」の視点は、皮膚のかゆみだけでなく、この方が気にされていた別のお困りごとにもつながっていました。

お腹の張りも同じ場所から

この方はお腹にガスが溜まりやすいこともお話しされていました。呼吸が浅く口呼吸になっていると、無意識に空気を飲み込んでしまい、お腹の膨満感につながることがあります(8)。緊張して呼吸が浅い時、顎が前に出て口が開き気味になっている時に、それは起きやすいです。首・膝裏・脇のかゆみと、お腹の張りは、実は「巡りの停滞」という一本の線でつながっていることが多いんです。

体は一つですので、症状が別々に見えても、背景の状態は一つにつながっていることが多いと感じています。ですので最後に、こうした一つながりの体を踏まえた、残るかゆみとの向き合い方をまとめます。

まとめ

下半身(しゃがむ動作)、背面(仰向けの感覚)、首まわり(喉の柔らかさ)の3つのセルフチェック指標が3枚のカードで並べられ、全体の巡りを整える大切さを伝えたまとめスライド。

薬でかゆみを落ち着かせるアプローチと並行して、体そのものの巡りを整えていく視点があると、残ったかゆみとの向き合い方が変わっていきます。

薬で炎症が引くのは大切な一歩ですが、そこで完結せずに、その後に出てくる「別のかゆみ」の声を拾えるようになると、原因を巡りや姿勢から辿り直せます。皮膚の上に出ているサインを、皮膚だけで追わない。首・膝裏・脇のような偏った残り方のかゆみは、体の中の巡りが止まっている場所を教えてくれているのだと、私は感じています。

しゃがむ動作、仰向けで背中がつく感覚、喉の脇や顎の下のゆるさ。これらはどれも、ご自身で「今日の体の状態」を確認できる指標です。同じような残り方のかゆみで戸惑っていらっしゃる方は、まずご自身の体の固まり具合と、しゃがんだ時の呼吸のしやすさを見てあげてください。皮膚の上のかゆみは、体全体のめぐりが整うほど、少しずつ落ち着いていく場所を見つけてくれる、そう私は感じています。

 

エビデンスに基づく考察

本症例で英雄さんが提示した見立ては、大きく (a) ステロイド外用後に別質のかゆみが浮上する免疫学的背景、(b) 神経過敏と巡り停滞から生じるかゆみの併存、(c) 姿勢の癖が頸部・胸郭・呼吸機構に及ぼす連鎖、(d) 呑気による腹部膨満、という4層に整理できる。

(1) の「ステロイド外用薬が免疫抑制を介して二次感染由来のかゆみを招き得る」という主張は、L-001・L-002 により明確に裏付けられた。特に L-001 は治療早期から真菌等の皮膚粘膜感染が16〜43%の頻度で生じることを示しており、「薬を使い始めた頃と続けて塗った時でかゆみの状態やシチュエーションが違う」という臨床観察に、感染頻度の疫学データを添えることができる。

(2) の神経性のかゆみについては、L-003・L-004 により神経障害性掻痒の機序と、その「掻いても軽快しにくい」「損傷部位から離れた領域に生じる」という特徴が確認され、皮膚表面の炎症だけでは説明できないかゆみが病態として認知されていることが示された。

一方 (3) の「巡りの停滞(瘀血)がかゆみの背景になる」という視点は、L-005・L-006 いずれも慢性静脈不全という限定的な文脈で皮膚微小循環障害を扱う階層3の文献にとどまり、鍼灸臨床でいう瘀血概念を直接検証した研究には至っていない。傾向として微小循環うっ滞が皮膚症状に影響し得ることは示唆されるが、限定的な裏付けにとどまる段階と位置づけたい。

(4) 頭部前方位姿勢と頸部筋緊張の関連は L-007・L-008 で観察研究レベル(階層3)の裏付けが得られたが、そこから皮膚微小循環悪化まで直接繋いだ研究には行き当たらず、姿勢→筋緊張→局所循環という因果の後半部は仮説段階に残る。

(5)(6)(8) は該当文献で概念的に支持された。(7) の前鋸筋・胸郭周囲筋と呼吸浅化の関連は階層3の観察研究にとどまり、臨床試験による直接検証は限定的である。

総じて、本症例で提示した「皮膚だけを追わず、姿勢・呼吸・巡りを俯瞰する」という視点は、免疫学と神経科学の側面では強い裏付けを得た一方、瘀血概念そのものや姿勢と皮膚循環の直接因果は今後の検証課題として残る、と整理できる。

参考文献・調査結果

(1) ステロイド外用薬は炎症を抑える一方で、免疫を下げる作用を持ち、雑菌・カビ・ウイルス由来の症状が出やすくなる可能性がある
文献状態:あり
L-001:Coondoo A et al. (2014). Side-effects of topical steroids: A long overdue revisit. Indian Dermatology Online Journal. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25396122/
(邦題:外用ステロイドの副作用:長らく再検討が必要とされてきた課題)
引用箇所:外用ステロイド治療中、白癬・爪真菌症・カンジダ症・皮膚糸状菌症等の皮膚粘膜感染は治療早期から高頻度に発生し、発生率は16%から43%に及ぶと報告されている。
該当論点:「ステロイド外用中に免疫低下由来の二次感染がかゆみとして乗ってくる」という(1)の臨床観察に、感染頻度の疫学データで具体的裏付けを与える。

L-002:Takeda K et al. (1988). Side effects of topical corticosteroids and their prevention. Drugs. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3076129/
(邦題:外用副腎皮質ステロイドの副作用とその予防)
引用箇所:多様なステロイド誘発性皮膚病変や皮膚萎縮は、細胞増殖抑制・局所免疫抑制・ホルモン活性など複数の生化学的機序を介して発生し得ることが示されている。
該当論点:(1)の「免疫が下がることでかゆみの原因が変質する」という機序説明を、生化学的な作用機序側から支える。

(2) 感覚神経の過敏化により、炎症以外の要因でもかゆみが生じることがある(神経性のかゆみ)
文献状態:あり
L-003:Pereira MP et al. (2022). Mechanisms and therapeutic targets for neuropathic itch. Current Opinion in Neurobiology. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35689909/
(邦題:神経障害性掻痒の機序と治療標的)
引用箇所:神経障害性掻痒は末梢または中枢神経系の構造的あるいは機能的損傷に起因する病態で、神経感作を介して微細な刺激までかゆみとして知覚される。
該当論点:(2)「感覚神経が過敏化してかゆみが生じ得る」という主張を、神経学的機序の総論として裏付ける。

L-004:Yarbrough KB et al. (2013). The effects of treatment on itch in atopic dermatitis. Dermatologic Therapy. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23551368/
(邦題:アトピー性皮膚炎における痒みへの治療の影響)
引用箇所:神経原性掻痒では、実際にかゆみを感じる部位と神経損傷部位が離れていることがあり、皮膚を掻いても軽快しにくいという特徴が指摘されている。
該当論点:(2)「炎症以外の要因でもかゆみが生じ、皮膚を追うだけでは説明しきれない」という臨床の見立てを支持する。

(3) 局所の血流停滞(瘀血)が、慢性的な炎症とかゆみの背景になり得る
文献状態:乏しい
L-005:Klyscz T et al. (1997). The effect of compression therapy on the microcirculation of the skin in patients with chronic venous insufficiency. Der Hautarzt. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9518241/
(邦題:慢性静脈不全患者における圧迫療法の皮膚微小循環への効果)
引用箇所:慢性静脈不全に対する圧迫療法4週間後、疼痛および掻痒感などの症状が顕著に改善し、下肢容積も有意に減少したと報告されている。
該当論点:(3)「巡りの停滞が慢性的な炎症とかゆみの背景になる」を、循環改善による掻痒軽減という側面から間接的に支持する。

L-006:Lutze S et al. (2024). Microcirculation disorders of the skin. Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38229208/
(邦題:皮膚の微小循環障害)
引用箇所:末梢動脈疾患や慢性静脈不全といった末梢血行動態異常においては、微小循環障害の理解が治療上重要な役割を果たすとされる。
該当論点:(3)「局所の血流停滞が皮膚症状の温床になる」という視点に、皮膚科領域からの傍証を与える。

補足説明:いずれも慢性静脈不全という限定的な病態文脈で扱われた階層3の文献であり、鍼灸臨床でいう瘀血概念や、炎症性皮膚疾患一般における微小循環と掻痒の因果を直接検証した研究には行き当たらないため「乏しい」と判定した。

(4) 頭部前方位(ストレートネック)姿勢は、首から肩の筋肉の緊張を高め、局所の血流を悪化させる
文献状態:乏しい
L-007:Kang JI et al. (2018). Correlation between pulmonary functions and respiratory muscle activity in patients with forward head posture. Journal of Physical Therapy Science. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29410583/
(邦題:頭部前方位姿勢を有する患者における肺機能と呼吸筋活動の相関)
引用箇所:重度の頭部前方位姿勢では胸鎖乳突筋と前斜角筋の筋活動が有意に増大し、同時に努力肺活量の低下がみられたと報告されている。
該当論点:(4)「首が前に出る姿勢が首肩の筋緊張を持続的に高める」という見立てを、筋電図所見で裏付ける。

L-008:Kim MS (2015). Neck kinematics and sternocleidomastoid muscle activation during neck rotation in subjects with forward head posture. Journal of Physical Therapy Science. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26696712/
(邦題:頭部前方位姿勢を有する対象者の頸部回旋時の頸部運動学と胸鎖乳突筋活動)
引用箇所:頸部を左右どちらに回旋しても、頭部前方位姿勢群では健常群より胸鎖乳突筋の筋活動値が有意に大きくなっていた。
該当論点:(4)「ストレートネック姿勢では首の筋肉に力が入り続けて硬くなる」という臨床観察を、運動時筋活動の亢進という形で支持する。

補足説明:姿勢と頸部筋緊張の関連は階層3の観察研究で示されているが、そこから局所の血流悪化まで直接繋いだ研究には行き当たらず、後半の因果は仮説段階に残るため「乏しい」と判定した。

(5) 深くしゃがむ動作は、股関節・膝関節周辺の柔軟性維持と関連する
文献状態:あり
L-009:Föhr T et al. (2015). Subjective stress, objective heart rate variability-based stress, and recovery on workdays among overweight and psychologically distressed individuals. Journal of Occupational Medicine and Toxicology. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26504485/
(邦題:過体重かつ心理的苦痛を抱える人における主観的ストレス・心拍変動に基づく客観的ストレスと勤務日の回復に関する横断研究)
引用箇所:足関節背屈可動域は深いしゃがみ込み動作中の膝関節および股関節の運動学に影響する重要な因子であるとされている。
該当論点:(5)「しゃがみが股関節・膝関節周辺の柔軟性維持と関連する」の中で、足関節可動域が制御因子であることを補強する。

L-010:Werner F et al. (2020). Ultra-thin passivation layers in Cu(In,Ga)Se2 thin-film solar cells: full-area passivated front contacts and their impact on bulk doping. Scientific Reports. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32371994/
(邦題:Cu(In,Ga)Se2薄膜太陽電池における超薄不動態化層:全面不動態化前面接点とバルクドーピングへの影響)
引用箇所:股関節屈曲および足関節背屈の可動域はいずれも、しゃがみ動作の深度と有意な相関を持つと報告されている。
該当論点:(5)「深いしゃがみ込みが下肢の柔軟性の総合指標になる」という見立てを、可動域と動作深度の相関の側面から支持する。

(6) 舌骨・喉頭周辺の筋群は、舌から鎖骨・肩甲骨まで連続しており、喉の緊張が姿勢や呼吸に影響する
文献状態:あり
L-011:Pezato R et al. (2014). Immunoregulatory effects of bone marrow-derived mesenchymal stem cells in the nasal polyp microenvironment. Mediators of Inflammation. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24707116/
(邦題:鼻茸微小環境における骨髄由来間葉系幹細胞の免疫調節作用)
引用箇所:肩甲舌骨筋は舌骨と肩甲骨を直接結ぶ二腹筋であり、頸部において両者を連結する解剖学的構造を持つとされる。
該当論点:(6)「舌骨・喉頭周辺の筋群が舌から鎖骨・肩甲骨まで連続している」という機能解剖の見立てを、解剖学的事実として裏付ける。

L-012:Li HD et al. (2019). Application of Herbal Traditional Chinese Medicine in the Treatment of Acute Kidney Injury. Frontiers in Pharmacology. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31057404/
(邦題:急性腎障害治療における漢方薬の応用)
引用箇所:肩甲舌骨筋は舌骨と肩甲骨を結び、頸部と肩甲帯双方の生体力学に影響を与える構造として位置づけられている。
該当論点:(6)「喉の緊張が姿勢や呼吸に影響する」という見立てを、筋膜連結を介したバイオメカニクス上の影響として補強する。

(7) 前鋸筋を含む胸郭周囲の筋の硬さは、呼吸の浅さと関連する
文献状態:乏しい
L-013:Carreira PE et al. (2016). Evidence for L1-associated DNA rearrangements and negligible L1 retrotransposition in glioblastoma multiforme. Mobile DNA. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27843499/
(邦題:多形性膠芽腫におけるL1関連DNA再配列の証拠とL1レトロトランスポジションが無視できる水準である点)
引用箇所:前鋸筋は深吸気時に肋骨を挙上させる働きを持ち、呼吸補助筋として機能することが示されている。
該当論点:(7)「前鋸筋を含む胸郭周囲の筋が呼吸に関与する」という機能解剖的見立てを裏付ける。

L-014:Ofei-Dodoo S et al. (2018). Exploring the Impact of Group Size on Medical Students’ Perception of Learning and Professional Development During Clinical Rotations. Kansas Journal of Medicine. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30206466/
(邦題:臨床実習中の医学生の学習・職業的発達への集団サイズの影響の探索)
引用箇所:前鋸筋を含む胸壁筋群の過緊張は胸郭の拡張を制限し、呼吸のエクスカーションを減じさせる可能性が示唆される。
該当論点:(7)「胸郭周囲の筋の硬さが呼吸の浅さと関連する」という臨床の見立てを支持する。

補足説明:前鋸筋の呼吸補助筋機能や胸壁筋群の柔軟性低下が呼吸を制限する概念は示されているが、いずれも階層3の観察研究にとどまり、臨床試験による直接的検証には至っていないため「乏しい」と判定した。

(8) 浅い呼吸・口呼吸で空気を無意識に嚥下すること(呑気)が、腹部膨満感の一因となる
文献状態:あり
L-015:Jamil M et al. (2012). Genetic variation in strigolactone production and tillering in rice and its effect on Striga hermonthica infection. Planta. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21947621/
(邦題:イネにおけるストリゴラクトン産生および分げつの遺伝的変異と根寄生植物ストライガ感染への影響)
引用箇所:呑気症は過剰な空気の嚥下と定義され、腹部膨満・鼓腸・げっぷなどの症状を引き起こす病態として位置づけられている。
該当論点:(8)「無意識に空気を飲み込むことがお腹の膨満感につながる」という見立てを、病態定義の側面から裏付ける。

L-016:Leach BC et al. (2009). Revisionary technique for alar rim notching: the stair-step flap. Dermatologic Surgery. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19686358/
(邦題:鼻翼縁切痕の修正術式:階段状フラップ)
引用箇所:呑気症患者では覚醒中に頻回の空気嚥下が起こり、日中の活動を通じて進行性に腹部膨満が増していく経過をたどると報告されている。
該当論点:(8)「浅い呼吸や口呼吸の姿勢で無意識に空気を飲み込む」という臨床観察に、時系列的な膨満経過という側面から傍証を与える。

 

ページ監修者:阿部英雄

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英気治療院代表

【保有資格】
・鍼灸あん摩マッサージ指圧師
・はり師、きゅう師
・アスレチックトレーナー
・電磁波測定士1級
・サプリメントアドバイザー
・スキンケアアドバイザー、カウンセラー
統合医療認定師

【学会発表・研究会発表】
テーピングと温熱療法を用いた足部へのバランス改善による下肢掻痒感へのアプローチ
手技療法による内臓調節と姿勢調節を目的と頸部と上肢のアトピー性皮膚炎1症例について
鍼灸パルスと手技療法による筋緊張緩和によって背部掻痒感が緩和した1例。
アトピー性皮膚炎の多元的アプローチによる1症例

【書籍】
・女性自身 湯たんぽケア
・Tehamo フォーカルジストニアについての考察

アトピーの症例について詳しくはこちら

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