顔の赤みや湿疹は呼吸の浅さと関係する?熱がこもる体の特徴とセルフケア

顔やおでこ、頬に赤みや湿疹が出たり、かゆみが続いたりすることはありませんか? こうした肌の不調には、呼吸の浅さや体の力み、熱のこもりが関係している可能性も考えられます。 今回は、顔や首、背中に湿疹があった患者様の施術を通じて、呼吸と血の巡り、肌の状態との関係を考えながら、ご自宅でもできるセルフケアをご紹介します。

【現在の状態】

綿の部屋着の襟元から見える首の付け根と上背部に、片手でそっと触れている場面。顔や文字はない。

顔や首、背中に繰り返す湿疹と赤み

この方は、おでこや頬、首、背中などに湿疹が出ていた経緯があり、顔の赤みやかゆみが気になる状態でした。
特に頬には赤みが見られ、目の下にはクマもありました。また、顔や頭に熱がこもりやすいことも気になる点でした。
肌の状態を確認する中で、呼吸の浅さや体の力みについてもお話を伺いました。

深呼吸しても息が入りにくく、体の力が抜けない

呼吸の仕方を伺ってみたところ、普段から呼吸が浅いと感じており、力を抜くために意識して深呼吸をしているとのことでした。しかし、息をうまく吐き出せず、呼吸のしづらさを感じていました。

実際に鼻から呼吸をしていただくと、お腹が膨らみにくく、胸の広がりも小さい状態でした。
さらに、肩や腕には力が入りやすく、二の腕にも硬さが見られました。顎周辺にも硬さがあり、口を開けにくい様子から、食いしばりの可能性も考えられました。

このように、肌の赤みや湿疹だけでなく、呼吸の浅さや体の緊張も見られる状態でした。

顔や背中の湿疹、赤みといった皮膚の症状に加え、呼吸のしづらさや体の硬さも確認できました。そこで、こうした症状をそれぞれ別の問題として捉えるのではなく、体全体の状態や各部位のつながりを考えながら、呼吸や筋肉の緊張がどのように関わっているのかを詳しく見ていくことにしました。

【施術者の見立て】

胸腹部の広がりや肩・腕・顎の硬さを示す観察カードと、呼吸と緊張の関係を仮説として示すカード。

呼吸の浅さと顔の赤み・湿疹の関係

顔や首、背中に湿疹が見られ、特に頬には赤みがありました。私は、こうした肌の状態を確認する際、皮膚だけでなく、呼吸や血の巡り、体に熱がこもりやすい状態にも目を向けています。

今回気になったのは、呼吸が浅く、胸やお腹が十分に広がりにくいことでした。息をうまく吐き出せず、肩や胸に力が入った状態が続くことで、体の緊張が抜けにくくなっている可能性を考えました。

そこで、深呼吸の長さだけでなく、胸やお腹のどこが膨らみ、どこが動きにくいのかを確認しました。手を当てながら呼吸することで、ご自身でも動きの違いを感じ取りやすくなると考えています。(1)

呼吸のしづらさだけを問題にするのではなく、こうした体の緊張や血の巡りの変化が、顔の赤みや熱のこもり、湿疹の状態にどのように関わっているのかを考えました。

肩や顎の緊張が、熱のこもりに関わる可能性

呼吸が浅いと、胸だけでなく肩をすくめるように呼吸することがあります。このような呼吸の仕方は、肩や首周辺に余計な力が入る一因になる可能性があります。(2)

また、胸の広がりにくさと二の腕の硬さにも注目しました。胸や肩周辺の筋肉が緊張していると、呼吸に伴う体の動きも制限されやすくなります。(3)

筋肉の緊張が続くと、局所的な血流や皮膚の感覚にも影響することがあります。また、ストレスによる神経系の反応は、ヒスタミンなどのかゆみに関わる物質の働きと関連する場合があります。

今回の患者様は、顎周辺にも硬さがあり、口を開けにくい状態でした。こうした肩や首、顎の緊張が、顔周辺の熱のこもりやかゆみに関係している可能性もあります。
ただし、筋肉が硬いこと自体がヒスタミンの放出を直接引き起こすとは限らず、湿疹や赤みには皮膚の炎症や外部刺激なども関わります。

そこで、呼吸の動きと肩・腕・顎の硬さを一つずつ確認し、施術によって体の状態や肌の反応がどのように変化するかを見ていくことにしました。

【施術内容と経過】

首肩、胸肋骨、頭顎への施術と、肩の本人の感想、腕の柔らかさ、施術者が確認した息の入りやすさを分けた図。

浅い呼吸による首肩の緊張を緩め、かゆみや過敏さに対応

呼吸が浅いと、息を吸うために肩をすくめたり、首周辺の筋肉に余計な力が入ったりすることがあります。筋肉が硬くなることで胸の動きも制限され、さらに呼吸が浅くなる悪循環につながる場合があります。
今回は首や肩に強い緊張が見られたため、まずは筋肉を緩め、呼吸しやすい状態を目指しました。
慢性的に硬くなった筋肉は、マッサージや運動だけでは緩みにくい場合もあります。そのため、今回は鍼に電気を流す施術も用いて、首や肩の緊張に対応しました。
また、背中にはお灸による温熱刺激を加え、場所による熱の感じ方も確認しています。
施術後には、ご本人から肩が楽になったという反応がありました。筋肉の緊張を緩めることで、呼吸のしやすさや皮膚の過敏さにも良い変化が生まれることを目指した施術です。

胸や肋骨の動きを広げ、腕の硬さやかゆみに対応

呼吸が浅い状態では、肋骨が十分に広がらず、胸周辺の筋肉も硬くなりやすくなります。胸周辺には腕へ向かう神経も通っているため、筋肉の緊張が腕の感覚や動きに関係する可能性があります。
そこで、胸や肋骨周辺に振動を与えるような刺激を加え、胸郭の動きを促す施術を行いました。(4)
施術前には二の腕の硬さを確認し、刺激のあとに再び触れてみると、柔らかさに変化が見られました。
また、最後の呼吸の確認では、私から息が入りやすくなったことを伝えています。

※補足:多量の痰がある患者9名を対象とした研究では、体位ドレナージと強制呼出手技に胸部叩打法を加えると痰の排出量が増えましたが、肺機能と酸素飽和度には変化がありませんでした。この研究は排痰を目的としたもので、今回の刺激による胸郭の動きや息の入りやすさ、腕の硬さの変化を裏付けるものではありません。今回記載した変化は、この症例での確認として区別する必要があります。(参考文献1)

頭と顎の緊張を緩め、顔の赤みや熱のこもりに対応

呼吸が浅く、体に力が入った状態が続くと、顔や頭のほてり、緊張感が気になることがあります。
今回は頬の赤みや顎周辺の硬さが見られたため、頭や顔にはカッサを使い、顎周辺にはマッサージを行いました。
特に顎は、食いしばりによって筋肉が緊張しやすい場所です。顎の硬さが首や肩の力みにも関係している可能性を踏まえ、顔周辺の負担を減らすことを目指しました。(5)
施術後には頬周辺の変化を確認しましたが、赤みがどの程度変化したかまでは測定していません。

呼吸を深め、体の緊張を緩めるセルフケア

施術後の状態を維持するため、ご自宅では呼吸と顎周辺のケアをお伝えしました。
まずは胸やお腹に手を当て、呼吸によって手の位置まで体が膨らむかを確認します。動きを感じられたら、少しずつ手を下へ移し、下腹部や左右への広がりも意識していただきます。
動きにくい場所には手のひらを当て、その上から軽く叩く方法も説明しました。刺激の前後で胸の動きや息の入り方がどう変わるかを確かめるためのケアです。(4)
また、硬くなりやすい顎周辺は、位置を少しずつ変えながら優しくマッサージすることをおすすめしました。
無理に大きく呼吸したり、強く叩いたりするのではなく、体の反応を確かめながら行うことが大切です。

【施術を通じての考察】

呼吸の動きと体の硬さを今回の手がかりとして示し、肌への影響と変化の持続は判断できないと分けた図。

湿疹やかゆみが出る場所と、呼吸の浅さ・体の緊張の関係

今回の患者様は、おでこや頬、首、背中などに湿疹や赤みが見られ、呼吸の浅さも感じていました。

実際に体を確認すると、肋骨周辺の動きが小さく、首や肩、背中にも硬さがありました。呼吸が浅くなると肩をすくめるように息を吸いやすくなり、首や肩の筋肉に余計な力が入ることがあります。

また、背中や胸周辺が硬くなると肋骨の動きが制限され、さらに呼吸がしづらくなることもあります。こうした筋肉の緊張が続くことで、血の巡りや神経の働きにも影響し、かゆみや皮膚の過敏さに関わっている可能性があります。
特に今回は、湿疹やかゆみが気になる場所と、筋肉の緊張が強い場所に重なりが見られたことが印象的でした。

首や顎の緊張を緩めることで、呼吸と肌の負担を軽減

もう一つ気になったのが、首や顎周辺の硬さです。
頭が前に出るような姿勢では、首や肩の筋肉に負担がかかりやすくなります。また、顎を支える筋肉にも力が入り、食いしばりや顎周辺の緊張につながることがあります。
今回も顎の開きづらさや硬さがあり、首や肩と合わせて緩める施術を行いました。
施術後には、肩が楽になったというご本人の反応があり、腕の柔らかさや呼吸のしやすさにも変化が見られました。こうした変化から、呼吸と筋肉の緊張が互いに関わっていた可能性がうかがえます。
さらに、体の緊張が緩むことで、顔や頭に熱がこもる感覚や、皮膚のかゆみにも良い影響が期待できます。
今回の症例では、呼吸の浅さと首・肩・背中・顎の硬さが重なっていたため、それぞれを緩めることが、かゆみを軽減するための一つの手がかりになると感じました。
もちろん、湿疹やかゆみには皮膚の炎症や外部刺激なども関係します。しかし、肌の症状だけを見るのではなく、呼吸や姿勢、筋肉の緊張も含めて体全体を確認することが大切だと考えています。(6)

【まとめ】

胸腹部に手を当てる、力みや姿勢を確認する、自分の感覚を言葉にするという3つの視点を示す図。

今回の症例では、顔の赤みや首、肩、背中などに湿疹が見られ、呼吸の浅さや体の緊張も重なっていました。
呼吸が浅いと肩をすくめるように息を吸い、首や肩に余計な力が入りやすくなります。反対に、筋肉が硬くなったり姿勢が崩れたりすることで胸や肋骨の動きが制限され、さらに呼吸が浅くなるという悪循環も考えられます。
こうした状態が続くことは、血の巡りや神経の過敏さにも影響し、かゆみや肌荒れが長引く一因になっている可能性があります。
そのため、呼吸だけを整えるのではなく、硬くなった筋肉を緩め、姿勢や胸の動きを改善することも大切です。
今回は、施術によって体の緊張や呼吸のしやすさに変化が見られました。肌の不調を繰り返さないためにも、呼吸を整えるケアと体を緩めるケアを組み合わせることの大切さをお伝えした症例でした。

参考文献

1. Gallon A. Evaluation of chest percussion in the treatment of patients with copious sputum production. Respir Med. 1991;85(1):45-51. doi:10.1016/s0954-6111(06)80209-x. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2014357/

多量の痰が出る患者に対する胸部叩打法の評価(参考訳)

研究の内容と結果:痰が多い患者9名を対象に、姿勢と息の吐き方を工夫する排痰法へ、手で胸を叩く方法を加えた研究です。痰の排出量は増えましたが、肺機能や血液中の酸素の割合には変化がありませんでした。

ページ監修者:阿部英雄

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英気治療院代表

【保有資格】
・鍼灸あん摩マッサージ指圧師
・はり師、きゅう師
・アスレチックトレーナー
・電磁波測定士1級
・サプリメントアドバイザー
・スキンケアアドバイザー、カウンセラー
・統合医療認定師

【学会発表・研究会発表】
テーピングと温熱療法を用いた足部へのバランス改善による下肢掻痒感へのアプローチ
手技療法による内臓調節と姿勢調節を目的と頸部と上肢のアトピー性皮膚炎1症例について
鍼灸パルスと手技療法による筋緊張緩和によって背部掻痒感が緩和した1例。
アトピー性皮膚炎の多元的アプローチによる1症例

【書籍】
・女性自身 湯たんぽケア
・Tehamo フォーカルジストニアについての考察

アトピーの症例について詳しくはこちら

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