かゆみが気になり薬を塗りにくいとき、身体の状態を見ながら行ったケア

ご自身の判断で参考になさってください。
このかたは2回目の来院です。前回は薬もぬれないくらい感覚が過敏な状態でした。ケアをお伝えして1週間後に2回目の来院となりました。
今回は、ご本人とご家族のお話を伺いながら、腕や顔の状態、呼吸、身体の緊張にも目を向けて施術した症例をご紹介します。

【現在の状態】

乾燥して赤みやかゆみが出ている前腕に、反対側の手をそっと添えている人の腕のクローズアップ写真。

アトピーで薬を塗るのを嫌がる理由とは?

前回までのお話では、薬を塗ったり飲んだりすることがあっても、外用を続けることが難しい様子がありました。薬を塗るときの感覚や、身体に触れられることも、ケアを続けるうえで気になる点でした。これは炎症やアレルギー反応だけでなく、神経の緊張などの感覚過敏由来であると推測しました。
今回は、処方された内服薬や外用薬について、前回からの経過をご家族からお話を伺いました。その結果、塗ったところがむずむずするか尋ねた際には、「むずむずはしない」との返答がありました。そのことから、お伝えしたケアによって感覚異常の軽減が見受けられました。このケアを続けることで、本来の医療ガイドライン通りのケアがしやすくなっています。

緊張するとかゆくなる?ストレスと皮膚症状の関係

かゆみは、緊張する場面で気になることもあるとお話しされていました。それは正座をして足が痺れるのと同じです。神経が障害を受けることで感覚異常が起こります。これを神経障害性掻痒症と言います。また、施術中には顔の赤みや、腕・背中の硬さ、浅い呼吸に目が留まりました。1日中赤いのは炎症ですが、変化する赤みは血流が関与するため赤みの変化を観察しています。この赤みは実は足の張りやむくみとも関係があるので合わせて確認しています。
ご自宅では、かっさを用意して腕のケアを数回行い、ご家族が頭にもケアをしていたとのことです。背中を軽くたたくケアも少し試していました。

【施術者の見立て】

「皮膚の状態」「身体の状態」「今回の方針」の3枠に分かれ、皮膚症状だけでなく首や背中の緊張・呼吸を観察して緊張緩和を目指す方針を示した図解スライド。

顔の赤みが出たり引いたりする原因は?血流と身体の関係

顔の赤みがなかなか引かない場合、皮膚の炎症だけでなく、血流の変化にも目を向けることが大切です。
特に、赤みが強くなったり弱くなったりする場合には、血管の拡張や身体の緊張などが関係していることがあります。
今回の患者さんも、顔の赤みだけでなく、頭や首の筋肉の緊張、足の張りやむくみが見られました。
そこで、顔だけをケアするのではなく、全身の血流や身体の緊張にも注目しました。
実際に、以前と比べると顔の赤みが少し落ち着いている様子も確認できました。

アトピーのかゆみは神経の過敏さが原因?

アトピーのかゆみは、皮膚の炎症や乾燥だけでなく、神経の過敏さが関係することもあります。
例えば、緊張したときにかゆくなったり、肌に触れられることが不快に感じたりする場合です。
今回の患者さんも、薬を塗ることや身体に触れられることへの抵抗がありました。
そこで私は、皮膚の炎症だけでなく、身体の緊張によって神経が刺激され、かゆみや感覚の過敏さにつながっている可能性を考えました(1)。
そのため、皮膚を直接刺激するのではなく、頭や首、背中などの緊張を緩めることを施術の方針としました。

※補足:アトピー性皮膚炎と心理的ストレスには関連があり、ストレスに反応した神経と免疫の働きが皮膚の炎症やかゆみに関わることが報告されています。

【施術内容と経過】

施術者が患者の背中を確認し、腕の状態を確かめ、家族を交えて感想を共有する様子を3コマの人物イラストで描いた施術ステップスライド。

アトピーのかゆみに頭や首、背中からアプローチ

今回の施術では、かゆみが出ている皮膚だけでなく、頭や首、背中などの身体の緊張を緩めることを重視しました。
特に、頭や首の緊張は、神経の働きや呼吸の状態にも関係するため、頭の調整や背中・胸まわりへの施術を行いました。
また、お腹や背中の硬さも確認しながら、呼吸がしやすい状態を目指しました。
皮膚に直接刺激を加えるのではなく、身体の緊張を緩めることで、かゆみや感覚の過敏さにも働きかけることを目的としています。

腕を直接もまなくても変化?施術後の赤みと硬さ

今回の施術で特徴的だったのは、腕を直接もんでいない段階でも、腕の硬さや赤みの見た目に変化が見られたことです。
施術の途中で腕の状態を確認すると、施術前よりも柔らかくなっているように感じられました。
実際にご家族にも腕に触れていただき、硬さの変化を一緒に確認しました。
このように、かゆみが出ている部分だけでなく、身体の別の場所に働きかけることで、皮膚の状態にも変化が見られることがあります。
今回の変化は施術中に確認したものですが、皮膚の症状を考えるうえで、身体全体の緊張や血流にも目を向けることの大切さを感じた症例でした。

【施術を通じての考察】

「心地よさを確かめる」「摩擦を避ける」「医師に相談する」という日々のスキンケア・ケア継続のポイントを3つのイラストで解説したスライド。

アトピーのかゆみを和らげるセルフケアの選び方

アトピーのかゆみをケアするときは、皮膚の炎症だけでなく、触れたときの感覚や身体の緊張にも目を向けることが大切です。
今回の患者さんは、ご自宅でかっさを使った腕や頭のケア、背中を軽くたたくケアを試していました。
ただし、かゆみが強いときや感覚が過敏になっているときは、普段は気持ちよい刺激でも不快に感じることがあります。
そのため、私はかっさが負担になる場合には、手で優しく触れるなど、刺激の少ない方法に変えることを提案しました。
大切なのは、強く刺激することではなく、ご本人が心地よく感じる方法を選び、無理なく続けられることです(2)。
赤みや傷がある部分には摩擦や刺激を加えず、皮膚の状態に合わせてケアを調整することも必要です。
※補足:小児アトピー性皮膚炎の研究では、外用薬に加え、かく習慣を減らす行動療法を行ったグループで、皮膚の状態の改善が報告されています。

アトピーで薬を塗るのが苦手なときの対処法

アトピーの治療では、炎症を抑えるための外用薬が重要ですが、薬を塗ること自体が負担になる場合もあります。
今回の患者さんも、薬を塗るときの感覚や身体に触れられることへの抵抗がありました。
そこで私は、薬を無理に塗ろうとするだけでなく、身体の緊張や感覚の過敏さにも目を向けることが大切だと考えました。
実際に、頭や首、背中などの緊張を緩める施術を行い、身体の柔らかさや皮膚の赤みの変化を確認しました。
このように、医師による薬物治療と並行して、身体の緊張や触れられる感覚に配慮することで、日々のスキンケアや外用を続けやすい環境づくりを目指せます。
薬を塗るときに不快感がある場合は、自己判断で使用を中止せず、処方した医師に相談しながら、無理のない方法を考えていきましょう

【まとめ】

「ご本人の負担を確かめる」を中心に置き、「皮膚の状態」「身体の緊張」「呼吸」「触れられた時の反応」の4つの観察視点を放射状に示した図解スライド。

今回は、かゆみや薬を塗るときの感覚が気になる方について、皮膚の状態とあわせて、身体の硬さや呼吸、触れられたときの反応を確認しました。
施術中には頭の感覚について話し、腕の柔らかさや顔の見た目を確認しました。ご本人の負担や感じ方を確かめながら、医師の指示によるケアと、日常で無理なくできる関わり方を考えていきます。

【参考文献】

(1) Suárez AL, et al. Psychoneuroimmunology of psychological stress and atopic dermatitis: pathophysiologic and therapeutic updates. Acta Derm Venereol. 2012;92(1):7-15. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22101513/

(2) Norén P, et al. The positive effects of habit reversal treatment of scratching in children with atopic dermatitis: a randomized controlled study. Br J Dermatol. 2018;178(3):665-673. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28940213/

ページ監修者:阿部英雄

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英気治療院代表

【保有資格】
・鍼灸あん摩マッサージ指圧師
・はり師、きゅう師
・アスレチックトレーナー
・電磁波測定士1級
・サプリメントアドバイザー
・スキンケアアドバイザー、カウンセラー
・統合医療認定師

【学会発表・研究会発表】
テーピングと温熱療法を用いた足部へのバランス改善による下肢掻痒感へのアプローチ
手技療法による内臓調節と姿勢調節を目的と頸部と上肢のアトピー性皮膚炎1症例について
鍼灸パルスと手技療法による筋緊張緩和によって背部掻痒感が緩和した1例。
アトピー性皮膚炎の多元的アプローチによる1症例

【書籍】
・女性自身 湯たんぽケア
・Tehamo フォーカルジストニアについての考察

アトピーの症例について詳しくはこちら

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